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鈴木優磨25歳が明かす“未来予想”「高望みの移籍は100%しない」「俺みたいな選手が1人くらいいても……」
posted2021/05/20 17:03
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
SSTV
鈴木優磨25歳。金色に染めた髪、その激しいプレーは、ときに「ふてぶてしい」といわれることもある熱血漢。プロデビュー戦の翌々年には鹿島のエースナンバー背番号9を担ったが、アンダーカテゴリーも含めて、日の丸を背負ったことは一度もない。2018年に招集されるも、負傷で辞退。結局、そのリハビリ中の2019年夏、ベルギーのシント・トロイデンへ移籍する。
ベルギー1年目のシーズンは7得点、2シーズン目となった今季は17得点をマーク。来季は新天地への移籍も噂されるほど結果を残している。そして、日本代表の森保一監督が4月の会見で、「代表にも当然絡んでくるだけのプレーを今、見せてくれているかなと思っている」と高評価したのも話題となった。
鈴木は、来季以降の自身の未来予想図をどう描いているのか? 本人に話を聞いた(全2回の2回目/#1から続く)。
◆◆◆
――シント・トロイデンへの移籍が発表されたとき、もっと上のクラブへ行けるのではないか? という声もあったと思いますが……。
「俺の考えでは、試合に出られる場所へ行くことが一番大事。サッカー選手は試合に出てなんぼだと思っているので。もし1年間、試合に出られなければ選手の市場価値はすぐに下がるけど、逆に試合に出ながら、少しずつであってもステップを踏めば、ちょっとずつでも大きくなりますよね? 場数を踏んで経験を積めれば、市場価値も上がっていくはずだから」
――たとえば、プレミアへ行くにしても、ベルギーから行くのはハードルが高い。遠回りになるのではないかという危惧もあると思うんですよ。
「たとえば、最初にブンデスへ行けたとしてそこで試合に出られなかったら、どうするのか? っていうと、選択肢は1つしかない。日本へ帰るしかなくなるんですよ。実際、そうやって日本に戻った選手も少なくない。そう考えたときに、目標には遠回りに見えるかもしれないけど、シント・トロイデンから始めたほうがいい。
実際、シント・トロイデンで活躍して、日本代表の中心選手になっているのが、(遠藤)航くんであり、冨安(健洋)、(鎌田)大地だと思います」
――ブンデスへ行って試合に出られなくて、一旦下がって、そこから這い上がる日本人選手は少ないかもしれませんね。
「それで成功した日本人は、大地以外にはいないと思う。大地がブンデスへ戻って、試合に出られたときは、『特例だな』って思いましたよ。だからこそ、5大リーグに比べればベルギーリーグのレベルは低いかもしれないけど、ステップを踏むのはやっぱり大事だなって」
「高望みの移籍は100%しない」
――移籍会見でも、土台を作るという話をしていましたね。
「俺のなかで、ヨーロッパで戦える準備をすることが大事だと考えていて、シント・トロイデンで2シーズンやって、その土台がひとつ作れたと思っています。もちろん、考え方は人それぞれだと思います。一発でレベルの高いビッグクラブへ行って、もまれて成長したい人もいるでしょう。でも俺は試合に出られるところを選んで、積み重ねで成長したいって思っているんです」
――目標であるプレミアリーグへ行くために必要な時間だったと。