メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
大谷翔平のホームランボール1個80万円! いつのプレーか詳細がWebですぐ分かる、MLBのスゴい“ニセ物対策”とは
text by
AkiAki
photograph byGetty Images
posted2021/05/09 17:03
大谷翔平のホームランボールは、今後どれほどの価値を持つのだろうか
スポーツ・メモラビリアの世界には常に偽物・贋作が付いて回っている。中でも1999年10月に偽造品の大規模な組織的犯罪が発覚し、これによって既存のコレクターは大きな被害を受けるとともに、市場の信頼性を一気に失ったという時代があった。それらの信頼を回復するために2000年頃から現行のシステムの運用がなされ、MLBがその価値を保証するという方式に変更されている。
ホログラムが貼られると当日7回以降に販売
ホログラムが貼られたボールは、その後ほとんどの球場でその日の7回以降に球場の売店で販売される(試合の終盤で使われたボールは翌日以降販売)。筆者が、登板当日の大谷が交代したあとに売店で購入したものが先の写真のボールとなる。行ったタイミングで同様に使用球を求めて人が数人集まっていたが、このような形で販売されているので無事、実際に大谷が投げたボールを入手できた。
では、球場に行かなければその日の試合球が購入できないのか? というとそうではない。例えば開幕戦や特別な記録のボールは、後日MLBが主催するオークションでも販売がなされており、実際に大谷のメジャー・デビュー戦のボールもいくつか主催のオークションで販売されたと記憶している。
また、記念品や文化をとても大切にする米国らしく、特別な記録のアイテムはホログラムが貼られたあと、米国の野球殿堂博物館に寄贈されるものも存在する。
すり替え防止策にもしっかり対応している
特に、記録が掛かった打席、例えば3000本安打などの場合にはボールに特別の刻印の入ったものを使用することで、仮にホームランになったとしてもボールの特定・回収を可能にしやすい体制を取っており、すり替え防止対策にもMLBは現在しっかりと取り組んでいる。
実際にキャッチしたファールボール等にはもちろんホログラムは貼られない。感動の思い出ではあるが、取った本人以外は本物どうかの真偽は分からない。
このホログラムという証明の存在によって、将来にわたってその記録を残すことのできるという素晴らしい文化に魅せられ、メモラビリアを集めることになった。日本の野球界でも例えば佐々木朗希の初登板の際など同様の試み(使用場面を特定したうえで)をチャレンジして欲しいと願っている。
実際に大谷が初勝利を挙げた試合で投げたボールは、13球がホログラムを貼られたという証明が残されている。記念の初球と初三振のボールはホログラムが貼られたあと大谷本人にプレゼントされ、そのあとご両親にプレゼントされたそうだ。