「自分がいちばん手のかからない頭してるんですけど、ウチのお父さん、床屋なんです」

　牧原巧汰みたいなキャッチャー、しばらく出ないだろうな……と思ったら、そっくりな「2年生」が同じ神奈川から現れた。

　心身ともに、スクスクと育ってほしいと思う。

　とりわけ、盗塁を刺しにいく時の、ボールの持ち換えのテクニックなんか、牧原のすべてを吸収してやろうと思うぐらいで、ちょうどよい。

　人にわからないような痛い思いをしながら、人知れず辛い思いもしながら、誉められることも少なく、いたわってもらえるわけでもなく、むしろ誰かの代わりにいつも怒られて、叱られて…でもキャッチャーやってなきゃ絶対に味わえない野球の深さ、面白さ、恐ろしさ。人にはわからない野球の魅力をさんざん体感できる。そう、キャッチャーほど素敵な商売はないのだから。