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那須川天心はなぜリスクをとってボクシング転向するのか… “井上尚弥の存在”とキックのルール変更が背景に?
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![渋谷淳](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/e/d/-/img_edc914fc338a5bbcf41ac377fabc334211232.jpg)
渋谷淳Jun Shibuya
photograph bySusumu Nagao
posted2021/04/22 17:01
![那須川天心はなぜリスクをとってボクシング転向するのか… “井上尚弥の存在”とキックのルール変更が背景に?<Number Web> photograph by Susumu Nagao](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/9/d/700/img_9de4645909e925df0624faacd6b532a2152403.jpg)
キックボクシング界の神童と呼ばれる那須川天心はRISEで行われた志朗戦で勝利をあげ、武尊戦への機運が高まっている
「キックボクシングがボクシングに近づいていった」
「15年前、20年前のキックボクシングはパンチとキックだけでなく、首相撲、肘打ち、膝蹴りを使って試合をしました。だから試合中に組み合うシーンがけっこうあったんです。要はムエタイです。でも、そういった組み合いはテレビ的に面白くないということでルールを変えようということになりました。少しずつ変わっていった結果、今では“組んじゃダメ”が当たり前になりました。そうやって日本で行われているキックボクシングがどんどんボクシングに近づいていったんです」
昔のキックボクシングはムエタイのようにゆったりしたリズムでキックを中心に試合が展開された。重心のかけ方は後ろ足に7、前足に3がセオリー。ボクシングは重心を体の中心に持ってくるのが基本で、となれば重心は後ろ足5、前足5ということになる。これだと頭の位置はキックに比べてかなり前に出る形となり、ディフェンスの仕方はだいぶ変わってくる。どっしり構えるキックに対し、フットワークが速いのもボクシングの特徴だ。
「キックの練習でボクシング練習をするのが当たり前」
同じ“ボクシング”という名前がつく競技でもかつてはこれだけ違ったのだ。多くのキックボクサーがボクシングに舞台を移して成功しなかった理由がここにある。その根本が大きく変わった。
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山田トレーナーは続ける。
「ルールが変わっていってキックでもボクシング技術の重要性が高まりました。それでボクシングジムに通ったり、ボクシングのトレーナーに教わったりするキックボクサーが増えていったんです。天心や武居くんがキックを始めたころは、キックの練習でボクシング練習をするのがもう当たり前でした。だから彼らは小さいころからボクシングの練習を繰り返して、ボクシングに完全になじんでいる。キックのルール変更が彼らのような選手を生み出し、キックからボクシングに転向するハードルを下げたと言えますね」