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ロッテのドラ1左腕・鈴木昭汰に早くも漂う「大物感」…“何年もプロで飯を食っているかのようなマウンドさばき”ができるワケ
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKYODO
posted2021/04/20 11:03
白星こそないが、登板4試合で見事なピッチングを披露するロッテ鈴木昭汰
小島は悩める鈴木にこんな言葉を贈ったと言う。
「自分の良さを買ってもらってドラフトで獲ってくれたんだから、その良さを変えずに投げた方が良いよ」
その一言で、自身の方向性が定まった。
3月28日の福岡ソフトバンク戦は5回97球、4月11日の埼玉西武戦も5回92球と球数はけっして少なくない。だが、それを意識し過ぎれば自身の良さを消してしまうことにも繋がる。ならば、今は出来ないことを悩むより、出来ることを優先してチームに少しでも貢献したい。小島の一言が鈴木の心を少しだけ軽くしてくれた。
「昨年一軍で、ずっとローテーションを守って来た左投手なので、自分が目標にするところだと思います。そういう選手が身近にいるということは、自分にとってもプラスでしかないですし、本当に良かったと思っています」
「ドラフト1位で選ばれた以上は」
昨秋のドラフトから入寮までの期間の自主練習でしっかり自分を追い込んだ自負もある。
「スタートで出遅れないことは勿論だったんですけど、最初から良いスタートを切るにはそこに入るまでの追い込みだったり、準備だったりが絶対に関わってくると思っていました。ドラフト1位で選ばれたからOKではなくて、(プロで)活躍するためにどうするかを常に考えて、やって来たつもりです」
この冬はピッチングフォームの横の時間、体重移動の部分を長く取れるようにと試行錯誤を繰り返した。ネットスローを多めに、ときには傾斜も使いながら、大学4年の秋のリーグ戦時より、一段スケールアップしたように感じるのは、そのせいもあるのだろう。
「(1位で)指名されたときは本当に嬉しかったし、今までやって来て良かったなとは思ったんですけど、1位で選ばれた以上は、チームの新人の中で一番の成績を残さなければいけない。そういう意味では身が引き締まる思いがしました」