2020年M-1・全員インタビューBACK NUMBER
<あの日のかな~>おいでやすこが運命変えた4分間「カラオケネタは1秒変わらず間(ま)が決まっています」
posted2021/04/21 11:02
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
Keiji Ishikawa
おいでやす小田(42歳)とこがけん(42歳)、2人のピン芸人がユニットとしてM-1初の決勝進出、そして記憶に残る準優勝。「あの日のかな~」運命を変えたカラオケネタはどうやって出来上がったのか。超多忙な2人があらためて振り返るあの“4分間”。(全3回の2回目/#1、#3へ)
――正直なところ、結成2年目のユニットコンビで勝ち上がってきて、俺たちがこの舞台に立ってもいいのかなという後ろめたさのようなものはなかったのでしょうか。
小田 僕らが2位になってええ大会やったんかなという思いは、今もどこかにありますよ。
こが 僕は準々決勝あたりはちょっとありましたね。周りに気を使ってしまうというか。でも準決勝まで勝ち進んだときは、逆に、フロックではないことを証明するためにも、しっかりやらなきゃという気持ちになっていました。
こが「僕らに点数は入らないと思ってた」
――そういう中で立った決勝の舞台は、率直なところ、いかがでしたか。
小田 緊張はほぼなかった。準々決勝がいちばん緊張したかな。準決勝までは残りたかったんで。決勝は出番を待っている間も、わくわくしながらモニターを眺めていましたね。ほんま、毎年、家で観てたのと変わらないくらい楽しんでいました。
――笑神籤の1本目が引かれるときは、ほぼみなさん、緊張がピークに達するとおっしゃりますが。
小田 僕らは勝手に1番目に引かれるだろうと思ってたんですよ。準決勝が目標だったので、決勝はボーナスのようなもの。だから、とにかくおれらが先陣を切って大会を盛り上げたいと思っていたんです。なので、1番目が「敗者復活」だったときは、2人で顔を見合わせて、こうへんかったな、みたいな。
こが トップで行くつもりでいたので、トップ出番でも変な緊張はなかったでしょうね。これまでの経験で、ウケるとは思っていたんです。ただ、小田さんには言っていませんでしたが、点数は入らないと思っていました。だから、僕も自分たちのネタで大会自体が盛り上がればそれでいいなと。
「カラオケネタはピン芸では成立しない」
――実際には5番手で、早過ぎもせず、待ち過ぎもせずという順番でした。いざ、本番となり、あのきらびやかなセットが目の前に開けた瞬間、やはり緊張したということはなかったですか。