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ビエルサが笑った! マンチェスター・シティ戦、なぜ“ジャイアントキリング”を起こせたのか【愛弟子が解説】
text by
赤石晋一郎Shinichiro Akaishi
photograph byGetty Images
posted2021/04/18 06:01
ビエルサとグアルディオラという名将対決となったリーズvsマンチェスター・シティ。首位を走るシティが敗れる波乱の結末となった(ビエルサの笑顔の写真は記事中にあります)
だが46分、先制点の起点となるパスを出したクーパーが一発レッドカードで退場してしまう。1人少ない10人となったリーズは、FWバムフォードを下げてCBストライクを投入する。
「リーズは1-0で勝っていたので、自陣から遠いほうから人を削るというのは自然な選択だったと思います。ただ下げるならロバーツかと思っていたのですが、バムフォードを交代させたことには少し驚きました」(荒川)
後半は開始からシティがさらにボールを支配する展開となる。FWバムフォードが下がり前線からのプレスが効かなくなったことにより更に押し込まれてしまう。
ビエルサとペップの見応えのある“頭脳戦”
シティは後半開始からFWジェズス、FWスターリングを2トップとする4-4-2にシステムを変更してきた。相手の2トップに対してビエルサは63分、CBコッホを投入して3バックで対応する。最終ラインは1枚余らせるといういつも通りの形だ。しかしFWバムフォードに続いて、FW役もこなせるOMFのロバーツを下げてしまったことで、リーズの攻め手は更に無くなってしまったかのように見えた。
「ペップは74分、左SHメンディに変えてMFフォデンを投入しています。このときフォデンは左WGにポジションを取り、シティは4人FWを並べる4トップとなりました。システムは4-2-4という超攻撃的な布陣です。リーズはシティの4トップに対して、両ウィングバックを下げた5バックで対応しています。守る為の5バックではなく、相手の4トップに対応するための5バックなのです。この辺りのペップとマルセロによる試合中の頭脳戦、駆け引きも非常に見応えのあるものでした」(荒川)
76分、シティがトーレスのゴールでとうとう同点に追いつく。1人少ないうえにFWがいないリーズは更に追い込まれることになった。
リーズには本来のプレイスタイルが蘇った
ところがリーズはここから見事な反発力を見せる。ボールを奪取すると右WGラフィーニャ、左WGのコスタを走らせる速攻で何度かゴールに迫る形を作り始めたのだ。両WGは自陣のゴール前で守備を行い、味方がボールを奪うと相手ゴール前までロングスプリントするというダイナミックなプレイを見せた。同点にされたことによりリーズには本来のプレイスタイルが蘇り、時計の針が進むごとにシティの対応は徐々に遅れはじめる。