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「互いを高め合うライバル」97年生まれ“八村世代”のルーキー寺嶋・久保田のPGコンビが、次世代京都ハンナリーズの礎を築く
posted2021/04/02 17:00
text by
カワサキマサシMasashi Kawasaki
photograph by
Masashi Kawasaki
京都ハンナリーズは昨オフに、bjリーグ時代から9シーズンにわたって指揮を執った浜口炎前ヘッドコーチ(HC)が辞任。後任として今季は、これが初めてのHC職となる小川伸也がタクトを振っている。この指揮官の交代と歩みを合わせて、チーム編成の方向性にも変化が表れた。
これまで京都の日本人選手は実績あるベテランが中心だったが、今季は若手主体へとシフトチェンジ。しかもロスターには寺嶋良、久保田義章、細川一輝、大庭岳輝と、大卒1年目の新人が4人も名を連ねている。彼らは全員1997年生まれ。現在NBAのワシントン・ウィザーズで活躍する八村塁と同学年の、いわゆる“八村世代”だ。昨季途中に特別指定選手として細川は群馬クレインサンダーズに、寺嶋は東海大学在学中の19年暮れに、ほかの2人は20年から京都に加入しているが、実質的には4人とも今季がルーキーイヤー。にも関わらず寺嶋と細川はスターター、久保田もセカンドユニットの一番手と、主力として起用されている。
若手の力を核として、チームを刷新する京都
就任時に「京都ハンナリーズのアイデンティティを築く」と宣言した37歳の若き指揮官は、京都の新しい時代を作るにあたって、彼ら4人が核になるべき存在と期待を寄せる。なかでもポイントガード(PG)は経験が必要とされるポジションながら、寺嶋は1試合平均20分あまり、久保田は同10分あまり起用されている。彼らが得たプレータイムは、ベンチからの信頼の証左である。
寺嶋はタテへの突破力に加え得点力もあり、一方の久保田はコートの横幅を広く使うプレーメイカーと、PGとしてそれぞれに異なる個性を持つ。とはいえふたりは若く、経験が浅い。彼らにとってシーズン序盤は、開幕4連敗を喫したチームと同じく苦難の船出だった。寺嶋は開幕戦の20得点をはじめ、開幕から4戦すべてで15得点以上をあげた。しかしその後は急失速し、年が明けるまでのほとんどの試合でひとケタ得点に終わった。当時を振り返って、寺嶋が言う。
「最初の4試合でチームは負けてしまいましたが、自分の感触としては良かったんです。だけど、そこから急に自分のバスケを見失ってしまいました。PGとしてチームを勝たせられなかった責任感もあって、自分のスタイルではダメなのかなと思って試行錯誤してしまった結果、自分らしさが出なくて……。プレーをコントロールしないといけないのかなどと迷ったり、いろいろと考えてしまいました。でもそれは、チームのプラスになっていなかった」