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「互いを高め合うライバル」97年生まれ“八村世代”のルーキー寺嶋・久保田のPGコンビが、次世代京都ハンナリーズの礎を築く
 

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カワサキマサシ

カワサキマサシMasashi Kawasaki

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photograph byMasashi Kawasaki

posted2021/04/02 17:00

「互いを高め合うライバル」97年生まれ“八村世代”のルーキー寺嶋・久保田のPGコンビが、次世代京都ハンナリーズの礎を築く<Number Web> photograph by Masashi Kawasaki

ライバルとして互いを高め合う寺嶋良(左)と久保田義章(右)。ともに97年生まれのPGだ

 久保田もまた、シーズン序盤は苦悩した。開幕2~4戦目は20分近く出場しながらも、その後はコートに立つ時間が数分と激減。出場すらしない試合もあった。そんな現状を打破するために、自分のプレースタイルに対する意識を変えた。

「シーズン序盤はプレータイムが伸びず、思い悩むこともありました。学生時代はプレーメイクやオフェンスをメインにやっていたのですが、小川HCが重視しているのはディフェンス。なので、まずはチームでいちばんディフェンスを徹底しようと意識を変えたんです。自分にとっては、大きなモデルチェンジでもありました。そのことが、後半戦に入るにつれてプレータイムが伸びてきたことにも、関わっているんじゃないかなと思います」

 一方の寺嶋は自らの原点に立ち返ることで、序盤戦の壁を乗り越える。

「僕が自分らしさを発揮することが、チームにいい影響を与える。あらためてそう思って、それを実行したことで自分らしさを取り戻せた。そうなるまでにいろんな経験ができて、今はもう一段階レベルが上がった選手になれたんじゃないかなと思います。小川HCにも、僕が本当にダメなときに『今は我慢時だ。大変な時期を乗り越えたら、またワンランク上の選手になれるぞ』とのお言葉をいただいて、それを信じてやってきました。その結果、一周して元に戻ったというより、たとえるなら渦巻きのように広がって、少し大きくなった感じがあります」

同い年、同じポジションのライバル意識

 京都の基本的な選手起用パターンは、こうだ。寺嶋をスターターで出場させ、エース格のデイヴィッド・サイモンとともにスコアをねらう。そして試合途中にゲームメイクに長ける久保田、PGでありながらサイモンと並ぶチームの得点源レイヴォンテ・ライスを投入。セカンドユニットでは久保田がプレーを組み立て、ライスがスコアする。起用のされ方も、PGとしてのキャラクターも異なる寺嶋と久保田は、互いをどのように意識しているのか。

「ヨシアキは僕とはまた違うプレースタイルの選手なので、得られるものがたくさんある。そう思って、彼からも学ぼうと意識しています。彼が僕のことをどう思っているかはわからないですけど(笑)、僕としては互いを高めあうライバルですね。僕にないものを彼が持っているので、彼の良さを吸収していきたいと思っています」(寺嶋)

【次ページ】 HCがチーム再建を若手に託す理由

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