入団2年目に10代で一軍デビューを果たし、20歳になって間もなかった2015年8月25日のロッテ戦でプロ初ホーマーを見事な逆転満塁本塁打で飾ってみせた。2017年には開幕スタメンに抜てきされレギュラーを獲得。2018年には143試合フル出場を果たして打率.270、22本塁打の成績を残し、ある意味期待値を上回る勢いでステップアップを続けた。

　しかし、過去2年間、上林の成績は信じられないほど低迷した。

　2019年が99試合、打率.194、11本塁打、31打点。
　2020年が69試合、打率.181、6本塁打、20打点。

　昨年末の契約更改では2年連続の大幅ダウン。その後に会見の中では「自分に厳しすぎた面もある。自分に優しくなりたい」と発言しちょっとした話題になった。メンタルも成績下降の一因ではあったが、やはり根本的に打撃技術の崩れが不調を招いていた。

　この2021年、復調の兆しが見えているのはその修正が何よりも大きい。

「君はイチローにはなれないよ」の意味

　今の上林を支える、2つのキーワードがある。それは「逆方向」と「ブレない」ことだ。

　昨年のレギュラーシーズンでは不調にあえいだ上林だったが、じつは6月の開幕前に行われた練習試合では12試合で7度もマルチ安打を記録するなど快調そのものだった。

　さらに少し遡る春の時期の、ある出会いが上林を好調に導いていた。ある著名なトレーナーにアドバイスを求めた際に衝撃的なひと言を言われたのだ。

「君はイチローにはなれないよ」

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