「君はイチローにはなれないよ」ホークスの背番号“51”上林誠知、過去2年間「打率1割台の低迷」から逆襲なるか

　やはりこの男は非凡だ。上林誠知の評価がキャンプからオープン戦にかけて、改めて見直されている。

　2月15日、キャンプ最初の紅白戦に白組・5番センターで出場。その第1打席でいきなりライトオーバーの本塁打を放った。

「逆風だったので行かないかと思ったんですけど、しっかり捉えられてはいた。紅白戦の初打席だったので積極的にいこうと思っていた。うまく反応して打てました。逆方向に打つイメージを持ったまま、緩い変化球だったので引っ張ってしまったんですが、そのように球種やコースごとに対応できたらいいかなと思います」

打率.609＆10試合連続安打

　これが号砲となった。紅白戦の計3試合でチームトップの打率6割（5打数3安打）。目立たないが、3四球も光った。対外試合が始まっても勢いそのままにヒットを量産した。2月27日のオリックスとの練習試合では山本由伸のストレートをセンター前へ華麗に運んだ。

「1本目は日本のエースというか、由伸から打てたので自信を持ってやっていきたい。あの1本で終わらずに（9回の第4打席で）2本目のヒットを打てたことが収穫です」

　キャンプを打ち上げて福岡に戻り、オープン戦でも3月2日、3日の中日戦で立て続けに快音を響かせた。紅白戦に始まってその時点まで全試合に出場して10試合連続安打をマーク。その間の打撃成績は23打数14安打12打点、2本塁打。打率はなんと.609を残した。

　逆襲の2021年へ、好スタートを切った。

　オープン戦が始まったPayPayドームの客席を見渡すと、今年もまだ声を上げて応援ができない中でファンも工夫を凝らして、自作の応援ボードを掲げて贔屓の選手を後押ししようとする姿がたくさん目に飛び込んでくる。上林のそれはその中でも多い方だ。

10代で一軍も……過去2年間の信じられない低迷

　ホークスに入団した時から期待値の高い選手だった。背番号51。将来のヒットメーカーの予感しかなかった。

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