濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
キックから“卒業”予定、那須川天心が“ポスト天心”を「キツいですよ。1人じゃ無理」と表現するワケ
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byRISE
posted2021/03/13 11:04
志朗戦を制した那須川天心(右)は試合のみならずその力のある言葉で多くの人々を魅了してきた
“ポスト天心”は「キツいですよ」
RISEにおける“ポスト天心”に話題が及ぶと、自身の存在そのものについてさらに深く言及した。
「キツいですよ。1人じゃ無理だと思います。今の格闘技は試合が組まれて、試合をしてそれで終わりという時代じゃないので。自分を売り出す、アピールする、自分の名前にすべてをかける。そういう意気込みじゃないとスターになれない。試合をして“応援ありがとう”だけじゃ(広く)伝わらないので。自分自身をアピールして演じることができるか。もちろん実力ありきですけど」
筆者はこの会見で那須川に「キックボクシング人生のまとめ方」について聞き、その答えが「もう悔いはない」というものだった。しかしあらためてコメントを振り返ると、那須川の言葉自体がキック人生の“まとめ”のようであり、後に続く選手たちへのメッセージに思える。
これだけの視野と懐を持ちながら、まだ22歳なのだから驚くしかない。本来の使い方とは逆の意味で、彼にとって“年齢はただの数字に過ぎない”のだろう。