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ジュリアの“髪切り”が目立ったが…「輝いていて美しい」林下詩美22歳vs上谷沙弥24歳にスターダムの未来が見えた

posted2021/03/09 11:02

 
ジュリアの“髪切り”が目立ったが…「輝いていて美しい」林下詩美22歳vs上谷沙弥24歳にスターダムの未来が見えた<Number Web> photograph by Masashi Hara

赤いベルトをかけた戦いはトリを飾ることはできなかったが、スターダムの女王の座にふさわしい名勝負となった

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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Masashi Hara

 3月3日に開催されたスターダム初の日本武道館大会は、団体だけでなく女子プロレス界全体の大勝負だった。少なくとも運営側にはその意識があったはずだ。

 オールスター・ランブルと題した時間差入場バトルロイヤルには現役の所属選手だけでなく引退した団体卒業生、他団体の選手、長与千種や井上京子といった“レジェンド”も出場している。初期スターダムの立役者であり2013年に引退した“ゆずポン”こと愛川ゆず季が長与に蹴りを叩き込むという、時空を超えたとしか言いようがない名場面も生まれた。リングインした長与に真っ先にぶつかっていったのはスターダムの新鋭、フューチャー王座を持つ飯田沙耶だ。最後は愛川を場外に落としてウナギ・サヤカが勝利。飛躍を期した七番勝負を終えたばかりのウナギが勝った意味は大きい。この試合は過去と現在、未来を凝縮した“祭り”だったと言えるだろう。

 他の試合にもすべてテーマ、背景があった。岩谷麻優vs世志琥は団体1期生対決であり、現在、世志琥が所属するシードリングとの団体対抗戦でもあった。ライバルであり、特別な絆もある2人。エモーショナルな試合になることは約束されたも同然だった。

「そこまでやるか」ジュリアvs中野たむ

 最終試合はジュリアvs中野たむによる“白いベルト”ワンダー・オブ・スターダム王座戦だった。試合形式は『敗者髪切りマッチ』である。どちらが勝つにせよ(いや負けるにせよ、か)インパクトは絶大なものになる。これまでの両者を見ていれば、激しく情念のこもった闘いになることも予想できたし、実際にそうなった。顔面を張り、頭部を蹴り飛ばし、頭から投げ落とす。“そこまでやるか”という攻防があり、その果てに敗れたジュリアの“髪切り”が敢行されたのだった。

 そして岩谷vs世志琥、ジュリアvs中野の間に組まれたのが、ワールド・オブ・スターダム選手権である林下詩美vs上谷沙弥だ。ワールド王座、通称“赤いベルト”は団体最高峰。今大会は「全試合がメイン級」としてセミファイナル、メインイベントという呼称は使われなかったが、それでも“トリ”を髪切りマッチに奪われたことに変わりはない。記者会見で、チャンピオンの林下は「思うところがある」と言った。その直後、筆者のインタビューにはこう答えた。

【次ページ】 トリを飾れなかった“赤いベルト”戦で何をしたか

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