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【引退】蛯名正義が語った“同期の天才”武豊への敬意とライバル心 「強い馬を頼まれて、ちゃんと結果を…」 

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江面弘也

江面弘也Koya Ezura

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photograph byAFLO

posted2021/03/01 11:03

【引退】蛯名正義が語った“同期の天才”武豊への敬意とライバル心 「強い馬を頼まれて、ちゃんと結果を…」<Number Web> photograph by AFLO

1999年、アグネスワールドでアベイ・ド・ロンシャン賞(フランス)を制した武を、祝福する蛯名。

武豊というスーパースターが競馬のイメージを変えた

 競馬学校の同期生は9人が騎手デビューしたが、現役は武と蛯名だけになった。勝ち星では武がリードしてきたが、近年の成績では蛯名が上回ることが多くなった。

「同級生に頑張っているやつがいれば、俺も頑張らなきゃな、というのはあっても、あいつがあそこまで行ったから俺も行きたいというのはありません。スーパースターの同級生がいることは幸せだと思っても、対抗心とかはぜんぜんない。自分の場合は、チームとして、乗る馬をどうやったら良くできるかとか、もっと走らせられないかと努力するのが仕事だと思っています。最近だったらマリアライト。厩舎とか牧場さんとか、馬主さんの理解もあって、無理をさせないで大事にしてきた馬だから、GIに勝ったときは嬉しかったですね。

いままでどおりスマートでいてほしい

 自分たちはほんとにいい時代に競馬に入ってきたと思います。競馬のために頑張ってきた先輩たちがつくった土台の上でデビューして、バブルの競馬も経験した。ものすごく恵まれた環境で騎手になったというのがあるけど、そのなかでも競馬界の顔として、武豊というスーパースターが競馬のイメージを変えてくれた。成績も飛び抜けていて、マスコミの対応にしても、すべてがスマートにできて、週刊誌に追いかけられるのはあいつぐらいだから(笑)。

 そういう意味では、いままでいなかったタイプの乗り役だし、競馬の枠を超えているところが彼のすごさだと思います。だから、彼らしくと言ったらおかしいけど、いままでどおりスマートでいてほしい。怪我したりして苦しいときもあったけど、それでも不平不満を言わず頑張っていたし。

 いい距離感というのかな。同級生だから、なかなかこういうふうに距離感を保っていくのは難しいんですが、同級生で乗っているのはふたりだけになってしまったので、互いに頑張っていきたいですね」

(Number913号「ジョッキーが語る『鞍上・武豊』 蛯名正義「高校の同級生と同じ感覚。それは今も変わらない」より」)

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