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事実上の全豪決勝…大坂なおみvsセリーナ 3年前の“大モメ全米”は「もう終わったこと」絶対女王の言葉は本心か?
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2021/02/17 17:02
全豪準決勝進出を果たした大坂なおみ。セリーナ・ウィリアムズとの1年半ぶりのリマッチは世界中が注目する
まったく力みのないフォームから放たれるシェイのショットは決してパワフルではないが、低い弾道で滑ってくる上に、球種もコースも展開も型破りだ。
そのトリックに嵌り、自滅したトップ10プレーヤーは、今大会の2回戦でのビアンカ・アンドレスクを含めて8人。2018年の全豪オープンでムグルサ、同年のウィンブルドンではハレプも敗れ、2019年のマイアミでは当時1位だった大坂もフルセットで屈した。
型破りなシェイに振り回されかけても
この日の大坂も攻めあぐね、逆にコート中を振り回される苦しい場面もあったが、過去の敗戦や接戦のときと違って集中力を切らすことがなかった。それは勝負どころでのサーブにも表れている。第1セットで握られた3つのブレークポイントのうち2つは、エースとサービスウィナーでしのぎ、試合展開を楽にした。
「前に対戦したときと比べれば、方向性がよりはっきりしていたと思う。それについてはじっくり話して試合に入ったから。彼女との試合がどんな感じになるかは過去のタフな試合で経験していたから、そうならないためにはどうするか、いろいろと準備ができた」
ギスギスしたコロナ禍でもリラックス
2011年からシェイについているオーストラリア人コーチのポール・マクナミーは、「スーウェイは世界一、ボレーでポイントを仕留めるのが上手い選手」と評する。ダブルスでのグランドスラム優勝3回、ランキング1位という実績もその証明だ。しかし大坂は、深くパワフルなショットで多くのポイントの主導権を握り、スーウェイに得意技を出す隙をほとんど与えなかった。
「あとがない状況だったムグルサとの試合で自信が高まった。自信というより、今のテニスの状態がいいから楽な気持ちでいられるのかな」
ギスギスしたこのコロナ禍でも、リラックスした精神状態に至っていることはセリーナと大坂の共通項でもある。