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今季34歳…森重真人が語るFC東京&自身のこれから J2降格を知るからこその「危機感」と「うっちーの引退」
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byF.C.TOKYO
posted2021/02/18 06:00
キャンプ中、柔らかな笑みを浮かべる森重真人。34歳となる今季も円熟のプレーを見せてほしい
1%を楽しむために、残りの99%は歯を食いしばりながら
――以前、「18年のロシアW杯までが自分のサッカー人生の第1章」と話していて、続く第2章では、サッカーを楽しむことを大きなテーマに掲げてきました。そのスタンスは今年も変わらないですか?
「そうですね。楽しむことが一番の目的というか、プレーを楽しむために、キャンプや日々のトレーニングにおける苦しさを乗り越えていく。決して力を抜くとか、フザけてやるという意味ではなくて、1%を楽しむために、残りの99%は歯を食いしばりながら努力する。そんなスタンスですね」
――スタンスを変えてから、ご自身のプレーも変わったと思いますが、チームとしても結果を残せるようになってきました。スタンスを変えたことと、チーム成績の向上については、どんな関係性があると思います?
「それですよね。関係性があるのかどうか、僕のほうが調べてもらいたいくらいですよ(笑)。でも、そこもまた面白いなって。若い頃のほうが動けた感覚があるし、自分のやりたいことが10あったら10できていた感覚なんですけど、結果に結びつかなかった。でも、この2年くらい、少しサボるくらいの感覚でプレーしたら、周りから評価してもらえたり、チームの結果も付いてきた。驚きというか、新しい発見でした。センターバックって、無駄が省かれたほうがいいプレーができるのかなって。このポジションの真髄に触れたような気がしましたよね」
うっちーの引退は寂しかったし、自分もそういう年だと
――最初に自身の選手寿命について言及されましたけど、同学年の内田篤人さんの引退に関して、思うことはありましたか?
「もちろん、驚きましたし、寂しかったし、自分もそういう年なんだな、ということを思い知らされたというか。昨シーズンは(同じ年で浦和レッズの)槙野(智章)も(柏木)陽介も試合に出られない時期があって、僕ら87年組もそういう時期を迎えているんだなって。その極めつけが、うっちーの引退だったので、キャリアについて考えざるをえなかったですよね」
――一方で、交流のある中村憲剛さんは37歳から引退した40歳までの4年間でタイトルをたくさん獲りました。そうした姿から受ける刺激もあるのでは?
「自分は今年34歳になるので、『ここから6年?』みたいな(笑)。そう考えると、怪物だなって。『自分もあの境地まで行けるんだろうか』って自問自答しながら1年、1年を過ごしていますよ(笑)。でも、タイトルに関しては、純粋に自分たちにもその可能性があるんだなって思わせてもらった。だからこそ、さっき話したように、柊斗や帆高の世代がタイトルの味を知ったことで、FC東京もここから良い時代を迎えられるんじゃないか、という期待があります。もちろん、自分もそこに関わっていくつもりですけどね(笑)」