酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
甲子園準V腕・安樂智大24歳が打撃投手、守備職人・藤田一也38歳は育成選手並みに… 楽天二軍キャンプの生存競争
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2021/02/10 18:30
田中将大の加入で湧く楽天だが、二軍キャンプでも安樂らが熾烈なアピールを続けている
ブルペンで投げたのちに、バッティングピッチャーとしてマウンドに。打撃投手は打者の練習のために投げるが、こういうケースでは投手にとってもテストの場になる。
ケージの後ろには三木肇監督をはじめ、コーチ陣が安樂の登板をじっと見つめている。
後藤武敏打撃コーチも懇切丁寧に指導
筆者は毎年各球団の春季キャンプを見ているが、キャンプの練習メニューは選手1人1人細かに決められている。それぞれの練習に目的があり、成果が求められる。この安樂の登板も、その球を打つ打者も、それぞれ目的をもって練習しているのだ。
球場の外周では選手たちが坂道を疾走している。これもメニューのうちだ。トレーナーがついて走り方のレクチャーもしている。
打撃練習中、ケージの後ろにいる「93」は後藤武敏二軍打撃コーチ。西武、DeNAで活躍した「ゴメス」である。現役時代はまっ四角な体をしている印象だったが、ややスリムになったか。
打者のスイングを見ては、懇切丁寧にアドバイスしている。スイングの速さで知られたゴメスだが、選手の特性を見極めて個別に声掛けしているようだ。ケージから出てきた岩見には、体を使ってアドバイスしていた。
「二軍は若手の育成、実績ある選手の調整」
球団には、例によって二軍監督に話を聞く依頼をしていた。写真だけを離れた場所から撮影させていただき、電話でインタビューした。
――三木監督は二軍、一軍、二軍と監督を経験されましたが、一軍と二軍の指揮官ではどんな違いがありますか?
「いろいろな考え方があると思うんですけど、一軍は『勝負』、勝つことが目的ですが、二軍は若い選手の『育成』とベテラン、実績ある選手の『調整』ですね」