メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
引退を早めた? MLB守備の名手・ペドロイアが会見で振り返った「4年前の危険すぎる接触プレー」
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2021/02/08 11:00
レッドソックス一筋17年。新人王、MVP、ワールドシリーズ制覇も経験したペドロイア
彼の広い守備力には定評があった。深い一、二塁間へのゴロをスライディングキャッチし、素早く一塁へ送球するプレーはまさに華麗。そして、何度も唸らされたのが、併殺プレーでの二塁ベース上での身のこなしだった。
投ゴロ、三ゴロ、遊ゴロで二塁ベースカバーに入るペドロイアへ送球されると、彼は素早く、自分の身を守りながら併殺を完成させた。
わかりやすく説明すると、ペドロイアは二塁ベースに入った後、一塁へ送球する際に最もスローイング距離が長くなる左中間側へ身を移してから投げることが多かった。
三塁側や右翼側にステップして投げるパターンもあるが、一塁走者のスライディングを二塁ベース板でプロテクトしてもらい、二塁ベースを挟んで一塁へ投げるのである。小柄な二塁手であるがゆえに身につけた術と言えるだろう。
ペドロイアを引退に追い込んだ「接触プレー」
だが、そのペドロイアを引退へ追い込んだのも二塁ベース上での接触プレーが原因と言われている。
17年4月21日、敵地でのオリオールズ戦。8回無死一塁からオリオールズのマーク・トランボが放った遊撃へのゴロで併殺を狙ったが、遊撃手ザンダー・ボガーツからの送球が左翼側へ逸れた。体を伸ばし懸命に捕球したが、体勢が崩れてしまった分だけスライディングから身を守る時間がなかった。
一塁走者は現パドレスのマニー・マチャド。スライディングがベースに近く、更には右足のスパイクの歯がペドロイアの左膝に入った。ペドロイアはベース横で倒れ込み、そのまま両脇を球団スタッフに抱えられ退場となった。
その後、3試合を欠場しただけで一度は戦列に戻ったものの、このシーズンから彼は左膝の不調に苦しむことになる。4度の手術を受け再起を目指したものの、18年以降の出場はわずか9試合に終わった。