窪田　その勝負は、竜王を止めて棋士として名を上げたいのに加えて、昇級を争った競争相手だった岡崎さん（洋七段。当時は六段）と付き合いがあるので援護射撃したいという気持ちが強かったです。渡辺さんは体育座りしていましたね。結果は自信につながりました。

――結果は岡崎七段が頓死で大逆転負けを喫し、渡辺竜王がB級2組に昇級です。窪田七段自身がC級1組を抜けるのは、第67期（2008年度）です。最終戦は自身が勝って、競争相手の広瀬章人五段（竜王1期、王位1期獲得。現A級棋士の八段）が敗れた場合のみ昇級と厳しい条件でした。

窪田　とりあえず自分が勝つしかないので、対局が始まったら他局は気になりません。事前の星勘定もあまり意識しませんが、昨今は昇級レースに絡んでおらず、降級点のかかった一番だと条件は少し気にします。昇級なら「指そう！」、降級点だと「とにかく指すか」という心境です。いずれにしろ、プレッシャーには向き合っていくしかありません。

©Tomosuke Imai

　対局中は前のめりになってしまったら姿勢を正しく直す、そうやって気合を入れてから緩めるとちょうどいい感じです。私は座禅を月1回やっていて、落ち着いて呼吸を丁寧に行うのがいいですね。そうそう、升田幸三先生（故人。実力制第四代名人）が「剣術では相手がスッと息を吸った瞬間に打ち込むから、将棋も同じように相手が息を吸い込んだときに指すのが大事だ」といったそうなんですよ。確かに10秒将棋だと、相手が息を吸った瞬間に絶妙手や意表を突く手を指せば、そのまま息を飲み込んで時間切れということもあるかもしれませんが（笑）。

「それがないと勝負師として枯れてしまいますから」

――B級2組に在籍して、今期で連続12期になります。B級2組はどういう特徴がありますか。

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