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巨人「PCR検査センター」を沖縄に設置 セ他球団との危機意識の違いを見ると…DH制も導入した方がいい!?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySankei Shinbun
posted2021/01/31 11:01
昨年、那覇キャンプを終え、手締めを行う巨人・坂本勇人(中央)。今年は全員がPCR検査を受けて臨む
現地の医療機関や検査機関に負担をかけないために
巨人がPCR検査センター開設の決断をした背景には、現地の医療機関や検査機関に負担をかけないで、安全と安心を確保することだったという。それをきちんと検査センターという形で実現したことには、コロナ禍の中でキャンプを張るプロ野球球団として評価すべき点だった。
ただ、こうした動きが巨人という1球団でしかないことに、少なからずがっかりした部分もある。
プロ野球界は昨年の新型コロナウイルスの感染が広がると同時に、Jリーグとともに「対策連絡会議」を設立し、様々な形で連携してスポーツ界のリーダーシップをとってきた。その中で選手個々人や選手会、それぞれの球団が医療従事者への支援活動や地域貢献に動いてきてもいる。
ただ、再び新しいシーズンに向けて動き出そうとしているいま、プロ野球全体として新たにキャンプやシーズン開幕に向けて、もっと社会貢献への道筋を示すことがあってもいいはずだからだ。
球団間による温度差があることは否めない
本来ならNPBとして沖縄だけではなく宮崎にもこうした施設を設置して、関係者や関連団体、地元でキャンプを支えてくれている人々への検査体制を確立すべきではないのか。コロナ禍の中で経営的に苦しい球団が多いのはもちろん承知している。それでもプロスポーツというのは、そうして地元で支えてくれている人々の助力なしにはあり得ない。だとすれば単なる1球団ではなく、NPBとして球界全体で、キャンプ地への地元貢献をすべきである。
この一事を見ても、新型コロナウイルスの感染拡大に対しての危機意識に、球団間による温度差があることは否めない。
直接的には関係ないかもしれないが、昨年来、巨人がセ・リーグの理事会で訴えてきているコロナ対策特例としての指名打者制度(DH制)導入についても、同じことが言える。