スポーツ物見遊山BACK NUMBER
【発掘】ジャイアント馬場の“日本未公開”ハリウッド映画 巨人→プロレスの空白期間に紋付き袴で大暴れ?
text by
高木圭介Keisuke Takagi
photograph byYukio Hiraku/AFLO
posted2021/01/23 11:00
プロレス入門前(?)に日本未公開のハリウッド映画に出演していたジャイアント馬場。当時の演技は弟子ジャンボ鶴田のそれとそっくりだった?
馬場の役柄は海兵に求婚されたっぽい(?)ゲイシャガールズの兄にして、大相撲の横綱『富士』というもの。
しっかり大銀杏のかつらをかぶり、紋付き袴姿で海兵たちに睨みを利かせ、四股を踏むや、セットの日本風家屋を破壊しつつ、海兵を追いかけ回しての乱闘シーンまである。
馬場のセリフは吹き替えなしで日本語のまま。米国では字幕が入れられていたはずだ。
ADVERTISEMENT
聞き取れるセリフは
「あっそう」
「あなたに会えて大変うれしいです」
「この中で誰と結婚してアメリカに連れていきます?」
「じゃ、酒でも飲みながら、その話をしましょう」
「私の未来の弟を庭に案内しなさい」
などなど。その後、なにやら騙されたようで突然怒り出し
「なんだと!」
「日本のレスラーは●●(※ヒアリング不能)じゃない!」
「ちっくしょー、よし、日本人の名誉を彼らに思い知らせてやろう」
「結婚式は必ずあげる。あなたの未来の兄として、私が責任を持つ」
と言い放つや、四股を踏み、別の海兵を追いかけ回して乱闘シーンへと突入して出番は終わる。以上だ。
乱闘シーンで見せた素早い身のこなし
この乱闘シーン、狭いセットに低い天井、頭に大銀杏、慣れない着物と足袋なので、かなり動きづらかったはずだが、馬場の動きの速いこと速いこと。昭和50年代以降の馬場の姿しか知らない人が見たら、驚きのステップなのだ。
昭和プロレス少年のバイブル漫画『プロレススーパースター列伝』(梶原一騎作・原田久仁信画)では、米国修業に出た馬場がニューヨークのMSG(マジソン・スクエア・ガーデン)でブルーノ・サンマルチノと対戦する際、ガウン代わりに女性ものの襦袢を羽織り、下駄をはきつつ、リング上で四股を踏むことをマネージャーに強要され「おれはプロ野球出身で相撲など関係ないのに……」と苦渋の表情を浮かべるシーンが有名なのだが、実際には渡米前、すでに大相撲横綱に扮して四股を踏んでいたということだ。