「今日の試合こそ、スターダム新時代の試合」

　試合は重厚なものになった。グラウンドでのがぶり、バックの取り合いから始まり舞華が腕を攻めていく。場外でも腕への集中攻撃。勝負どころでは柔道のベースを活かした大外刈りで後頭部を打ち付け、腕ひしぎ十字固めと裸絞めで追い込んだ。

舞華（奥）と林下詩美

　そうした攻撃をすべて受け止め、林下はラリアットで反撃するとトーチャーラックボム、BTボムと高さのある投げ技2連発で試合を終わらせた。受ける強さと攻める強さの両方を印象付ける、プロレスらしい試合でありタイトルマッチらしい勝ち方だった。

「舞華が挑戦するのはまだ早いとか、実力差があるとか言ってたの誰ですか。今日の試合で赤いベルトの価値、上がったんじゃないですか。今日の試合こそ、私が作っていきたいスターダム新時代の試合です」

　林下はインタビュースペースで舞華を称え、試合内容の手応えを語った。1年前に“新人王座”を争った同士で後楽園での記念大会、そのメインのタイトルマッチができたことへの感慨も大きかった。

“ビッグダディの三女”という紹介は不要かもしれない

「フューチャー王座をかけて闘ってから1年で、団体最高峰のベルトを争った。それがスターダムの時の流れの速さ、選手の成長の早さだと思います。スターダムの未来の明るさが伝わったんじゃないかと思います」

　この試合、そして今のスターダムのテーマを端的に言い切った林下。そろそろ“ビッグダディの三女”という紹介の仕方は不要かもしれない。彼女自身が業界を代表するチャンピオンであり“スターダムの未来”の象徴だ。

　彼女が言うスターダムの時の流れは、我々が予想していたよりも遥かに速かった。次の防衛戦は3月3日の武道館大会。試合を終えたばかりの林下に挑戦を求めたのは上谷沙弥だった。舞華よりさらにキャリアが浅い、2019年8月デビューの新星だ。

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