濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
22歳林下詩美に“ビッグダディ三女”の肩書はもういらない 「初ずくめ」スターダム後楽園大会のスピード感
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2021/01/23 17:00
キャリア2年半ほどのチャンピオン、林下詩美は圧巻の貫録を見せている
林下と組んでタッグ王座を保持していた上谷
デビュー年には新人王トーナメントに優勝、昨年末まで林下と組んでタッグ王座を保持していた上谷は、1.5新日本プロレス東京ドーム大会のスターダム提供試合で超高難度のフェニックス・スプラッシュを決めて話題を呼んだ。「スターダムの未来」を標榜する林下に対し、上谷は「未来のスターダム」をキャッチフレーズとしてきた。
この後楽園大会、上谷は4wayタッグマッチのフィニッシュを取っている。自分より大きいひめかを投げ切った決め技はスター・クラッシャー。大事に磨いてきたという技で勝てたことで、未来を引き寄せる自信がついたのだろう。
シングルでの実績が足りないことなどから、林下は明確な挑戦受諾のコメントをしていない。ただタッグパートナーだけに「上谷の実力はよく知ってます」とも。
「最高の試合ができる自信ももちろんあります。スターダムが私たちに期待してそのカードを組むのであれば、試合をしてもいい」
さらにこう付け加えてもいる。
「上谷の成長は近くで見ているので。これから(3月3日までの)短期間でどれだけ成長するかによっても、武道館大会のクオリティが変わってくると思います」
デビュー3年目のチャンピオンと2年目の挑戦者
3.3武道館大会では、OGも参加してのランブル戦(時間差入場バトルロイヤル)を実施、団体初期を引っ張った“ゆずポン”こと愛川ゆず季もエントリーするという。また5年前に退団した世志琥(SEAdLINNNG)が同期の岩谷に“宣戦布告”したことも話題になっている。
こうした要素で団体の“歴史”を見せることができるからこそだろうが、それにしても林下と上谷、デビュー3年目のチャンピオンと2年目の挑戦者が武道館で“赤いベルト”を争うとなれば、そのスピード感はただごとではない。“先行投資”という意味合いもあるにせよ、スターダムは5年、10年先の黄金時代まで見据えているということでもある。また新世代が確立することで、岩谷をはじめキャリアのある選手たちの逆襲にも意味が出てくるだろう。林下詩美が引っ張るスターダムの未来志向は、団体としての隙のなさでもあるのだ。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。