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J3も一緒に味わった愛する大分トリニータとの別れ…33歳三平和司、新天地での誓い「また好きになれる」
posted2021/01/14 11:01
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
J.LEAGUE
Jリーグきっての元気印・三平和司の新天地がヴァンフォーレ甲府に決まった。背負う番号は「9」。
2020年12月。プロ11年間の大半を過ごした愛するクラブ、大分トリニータとの別れは突然やってきた。
J1第31節のベガルタ仙台戦を控えた練習の後、三平が呼ばれたのは大分の本社にある面談室。そこには、榎徹社長と西山哲平GMが待っていた。
「厳しいことを告げなければなりません」
そんな前置きの後、来季の契約を結ばないという事実を告げられた。
「満了」という言葉を聞いた瞬間、三平の頭は真っ白になった。思わず「なぜなんですか? 理由を教えてください」と迫る。しかし、西山GMからその意図を詳しく告げられてみると、次第にクラブに対する感謝の気持ちが大きくなっていった。
「8年間プレーさせてくれてありがとうございます。J3で優勝したことが凄く嬉しかったし、いろんな思い出を刻むことができました。本当にありがとうございました」
無意識のうちに口にしたこの言葉に驚いたのは、他ならぬ三平本人だった。
「本音を言えば、『これだけ大分のために頑張ってきたのだから、ふざけんなと怒りを表してもいいんじゃないか』と思った自分もいた。でもその反面、自然と感謝が溢れ出てたんです」
「僕の生き方は間違ってなかった」
自宅へ帰る車の中、自らの回答を「単なるお人好しなんじゃないか?」と思った時間もあった。でも、どんなに考えても、悔しさより大分という街とトリニータというクラブへの愛情が勝った。怒りの感情がない自分がそこにいた。
「(自分の)満了という事実に『おかしいですよ!』と怒りを露わにするチームメイトがいたり、プレスリリースを受けて『さんぺーちゃんのいないトリニータはトリニータじゃない』、『悲しすぎるし、寂しすぎるよ』とかサポーターの声を聞いて、あのとき、クラブに感謝を伝えてよかったなと思った。トリニータのためにやってきて本当によかったし、僕の生き方は間違ってなかったのかなと」
残酷な宣告だったが、本当の自分の気持ちに触れることができた。ただ一方で、次へ向けて踏み出し切れていない自分もいた。それを感じたのは宣告の翌日の練習のことだった。