“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
J3も一緒に味わった愛する大分トリニータとの別れ…33歳三平和司、新天地での誓い「また好きになれる」
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJ.LEAGUE
posted2021/01/14 11:01
試合後にはキレキレのダンスを披露するなど、オフザピッチでも人気者に。大分サポーターにとっては忘れられない存在だろう
「ヴァンフォーレ(甲府)からの誘いに情熱を感じた。お金のことしか考えていなかった自分がすごく小さく見えたんです。もちろん家族がいるので、甘いことは言っていられないのかもしれませんが、伊藤彰監督が僕のポジショニングとシュートセンスを高く評価をしてくれた。ポジショニングはここ最近、ずっと意識をしてトレーニングしてきたことだったので、『しっかりと自分のことを見てくれているな』と本当に嬉しかったんです。それに『プレーを若手に教えて欲しいし、ピッチ外のキャラクターにも期待している』とピッチ外での僕にも期待してくれていたので、もうピッチ内外で全力で頑張ろうと心から思えたんです。ここなら大分の時と同じように、情熱を持ってサッカーをできると思ったんです」
甲府入りが発表となった12月30日、三平はクラブ公式Twitterに“動画”を投稿した。観る人を笑顔にするユーモアに富んだコメントと顔芸で、ヴァンフォーレを応援する人々の心を早くも掴んだ。さらに入団会見でも「日本一面白いサッカー選手」と司会に無茶振りをされても、「足の指の毛の長さでは誰にも負けない」という名言(?)で返してみせた。
「僕がまだステップアップの段階だったら、自分が上手くなるためにやればいい。でも、もう33歳。まだまだ成長できると信じていますが、『誰かのために』じゃないと頑張れないのかなとも正直思っています。コロナ禍の大変な状況になかで、ベテランの僕が求められているということ自体、とてもありがたい。ピッチ内外で全力を尽くすだけですよ」
どのくらい貯金できるかな?
以前のインタビューでプロサッカー選手としての信念を語ってもらったことがある。
「僕の脳みそって、常に1つ先の楽しいことを考えているんですよ」
苦境に立たされた今、それは何か?
「契約満了になったから、どのクラブに行っても給料は下がる。でも『どれだけ節約したら、どのくらい貯金できるかな』と考えるんです。何気なくコンビニで買っていたものをちょっと我慢するようになった自分はいるし、大好きな釣りの道具もある程度はそろえたので、あとは今の道具たちをどれだけ大切にしながら何釣りをするか考えている。こうやって人間はどんどん変わっていく。大切なことですよね(笑)」