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箱根駅伝、早稲田大はなぜ6位に沈んだか ダブルエース“2度のピーク”の難しさ【それでも来季は「三冠達成」】
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph byYuki Suenaga
posted2021/01/13 11:00
10区を走り6番目にゴールテープを切った山口賢助。強い早大の完全復活は近いのかもしれない
「下りのスペシャリストを目指したい」早大の収穫
もちろん収穫もあった。1つは2年生の好走だ。
「中谷と太田は調整が遅れる可能性もあるので、お前らがキーマンになる」と相楽監督がはっぱをかけ続けてきたのが2年生の井川龍人と鈴木だったが、それぞれ1区5位、4区3位と上々の走りを見せた。もっとも、2人とも区間賞を狙っていただけに悔しさを口にしていたが。
9区の小指は「身内の僕らも当日のエントリー変更を見て驚いた」と鈴木が言うほどの大抜擢だったが、初めての箱根駅伝で区間4位と堂々の走りを見せた。
また、6区で1年の北村光が区間8位ながら58分台で走ったことも、今後を考えれば明るい材料だ。
「6区を意識したのは11月くらいから。今回は準備期間があまりとれなかったので、来年以降はなるべく早い段階から万全な準備をして臨みたい。下りのスペシャリストを目指したいです」
と、本人も意欲を口にしている。
1年たったらチームは全く別ものになる
今回の箱根駅伝で見えた課題と収穫は、きっと来季につながるだろう。
「来季は今回走ったメンバーが9人残りますが、だからといってもっと強くなるというのは安易な考え方だと思う。1年たったらチームは全く別ものになりますので。今回区間3位以内で走った選手は鈴木だけだったので、区間上位で走れる選手をもっと作らないとベスト3には入らない。あとは山上りですね。自分が専門にしてきた区間なので、恥ずかしいですけど、来季は山上りで攻められるチームを目指したいと思います」
こんな言葉で相楽監督は気を引き締め直しているが、今回不出場のメンバーを含めても3年生以下に有力選手が多く来季への期待は高い。選手からは「来季は三冠を達成したい」という声がさっそく聞こえてきている。もちろんライバル校の戦力も充実しているが、早大にとって、勝負の1年になりそうだ。