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羽生善治「さらなるフロンティアを目指して」~スペシャルインタビュー~

posted2021/01/13 07:00

 
羽生善治「さらなるフロンティアを目指して」~スペシャルインタビュー~<Number Web> photograph by Masaru Tatsuki

羽生善治は今でも青年の面影を残す

text by

北野新太

北野新太Arata Kitano

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photograph by

Masaru Tatsuki

前人未踏、通算100期目の戴冠に挑んだ竜王戦では、敗れはしたものの、50歳にして衰えぬ姿を見せつけた。若き才能が台頭する中、今なお盤上の可能性を追い求める史上最高の勝負師が語る、将棋の、そして自らの未来とは。

 不思議なことに、彼のことを誰も「中年の星」とは呼ばない。50歳になったというのに、いつまでも青年の面影を残している。

 19歳竜王、七冠制覇、永世七冠、国民栄誉賞。平成という時代に棋界の象徴として君臨した羽生善治は、昨秋からの竜王戦七番勝負に挑戦者として臨んだ。和服に袖を通す2年ぶりの檜舞台。豊島将之との決戦でタイトル通算100期の神域を踏むことを目指したが、1勝4敗で敗れ去った。自らの体調不良による入院のため、第4局が延期される棋士人生初の苦難にも見舞われた。

 シリーズの趨勢を決したのは1勝1敗で迎えた第3局だった。羽生優勢で迎えた終盤に象徴的な局面がある。中継画面上に表示されたAIによる形勢評価のパーセンテージは「羽生75 豊島25」。ところが、既に一分将棋に突入していた羽生は頓死(自玉の詰みを見落とすこと)の筋に自ら飛び込む一手を指し、表示は一気に「羽生1 豊島99」の敗勢へと転落した。数分後、挑戦者は投了を告げた。

 あの瞬間、AIは▲9四角という異筋の最善手を示していた。ある棋士は「一分将棋で読み切って▲9四角を指すのは人間には不可能。仮に発見できても、その後の展開があまりにも見通せない」と言った。本当に人間には不可能な「幻の一手」だったのか、彼ならば指せるはずだった一手なのか?

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