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堀口恭司はやっぱりベルトが似合う 朝倉海との再戦は「やることやった後」那須川天心vs武尊の展望も語る
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph byKiichi Matsumoto
posted2021/01/08 17:01
再び取り戻したベルトを手に笑みを浮かべる堀口恭司。すでに気持ちは次戦へ向かっている
――作戦を少しだけ教えてもらえますか。
堀口 カーフキックだったり、寝技に持ち込むことだったり、いろいろあったんですけど、寝技は(朝倉側も)持ち込まれると考えていたと思う。マイク(・ブラウン/トレーナー)がすごく研究してくれて、「打撃もレベルが違うし、寝技になったらもっと違うし、恭司が勝負できると思ったらどこでも行っていい」とは言われていました。カーフキックとかで体力を削っていって、焦らずジワジワ行こうという作戦でしたね。
――朝倉選手の左のカウンターは警戒していましたか。
堀口 そうですね。でも(海君は)それしか狙ってこなかったので。(いつもより距離を詰めて、プレッシャーをかけた)距離感は自分にとってベストでした。
――いきなりカーフキックを1つ。この感覚はどうでしたか?
堀口 入ったなという感じで、ここから2、3発入ったら確実に効いてくるだろうなという感覚はありました。寝技は力を使うので体力が削られるんですけど、そこまで使わなくても打撃だけで仕留められるなと1発目の蹴りでわかったので、これで行こうと。まあ全部予定通りですよ、本当に。
――(キックが空振りになった後)朝倉選手のパンチをかわすシーンもありました。
堀口 見えていたので問題ないですね。(朝倉は)パンチばかりに意識が行っちゃってたので、こっちからしたらありがたい感じでした。かする程度のパンチはあったかもしれないですけど、クリーンヒットはなかった。
――その後、初めて組み合いました。
堀口 そこも自分のほうが強い部分ですし、問題なかった。
――この後のワンツーもめちゃくちゃ速かったです。
堀口 スピードは速いほうですからね。
――3発目にヒットしたカーフキックで朝倉選手の動きに明らかに異変が現れました。その後、左フックや空振りになりましたが2発もキックを仕掛けています。
堀口 はい、これはもう待っても(という状況)。やっぱり足のダメージは回復しないんですよ、頭は回復できたとしても。カーフキックはだいたい膝の下あたり、ここらへん(ふくらはぎ)を蹴ります。筋肉がない部分なので、痛いというよりも感覚が麻痺しちゃうんですよ。自分も練習でもらったことありますけど、気持ちとしては行けても足が変な風になって歩けない。
朝倉再戦は「やることをやった後」
――最後は朝倉選手の膝(蹴り)にカウンターを合わせました。
堀口 いつも倒れるパンチって全然、感触がないんです。スカッみたいな。たぶん相手の力が入ってないからだと思うんですけど。
――最後は吠えてましたね。「イージーファイト」という言葉も最高にカッコよかったです。
堀口 「イージーファイト」という言葉が(リスペクトがないなど)ネットで叩かれてましたが、あれは「俺ならこんな感じだよね」という意味で、マイクへ向けて言ったこと。向こうではよく使う言葉です。ケガを乗り越えて、こうやって結果を残せるんだよというのを、マイクと分かち合ったというか。
――「不可能なことはないよ」という意味ですか。
堀口 まさにそんな感じです。
――これで朝倉選手と1勝1敗になりましたけど、もう1回、朝倉陣営がやりたいと言ったらどうしますか。
堀口 いまはそう言われてますけど、自分にはまだやることがあるので。
――やること?
堀口 (怪我で返還した)ベラトールのベルトだったり、(やるとしても)自分のやることが終わってからかなという感じですね。
――でも「受けて立つよ」という意志はある?
堀口 全然。ただ、自分がやることをやった後ね、という感じですかね。
――RIZINのベルトは取り戻しました。次はベラトールに行く。膝のコンディションによると思うのですが、いつぐらいをイメージしていますか?
堀口 4、5、6月とか、そのくらいですかね。(膝は)バッチリですよ。ほんとに100%ですね。ちょっと痛いぐらいですけど、そんな痛いのなんて工夫すればどうにかなる。メディカルチェックも受けても問題はなかった。とりあえず1月いっぱいまでは日本にいようかなと思っています。YouTubeの撮影とかも入れているんでね(笑)。
――2021年はどれくらい試合したい、とかイメージはあるのでしょうか。
堀口 2、3試合はできるかなっていう感じですね。多くて4(試合)かなっていう。
格闘技はもともと好きですから
――改めて大晦日はどんな一日でした? 1年4カ月も実戦を離れ、見えたものもあると思います。
堀口 毎日練習ばっかりやってるので、リングや観客が特別なだけで、やってることは変わらないですから。まったく緊張もしないし。なんだかんだ(復帰までの)1年4カ月もあっという間だった。だから、そんなに変わらないかな(笑)。
――そう言うと思いました。
堀口 本当に練習でやってることが全部出ている。だから練習を試合のようにやっていれば、まったく怖いものはないなと思います。
――格闘技をより好きになった?
堀口 もともと好きですから。別に改めても何もないですよ。