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【FC東京ルヴァン制覇】1年前の敗因「選手層と勝負弱さ」払拭 アンカー森重真人の“利きぶり”が象徴的なワケ
posted2021/01/05 17:02
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
JIJI PRESS
1年前、掴みかけていたリーグ優勝を逃した要因を強みに変えて、FC東京が2020年度のルヴァンカップを制覇した。
クラブにとっては11年度の天皇杯以来4度目の、3年目を迎えた長谷川健太体制においては嬉しい初タイトルとなった。
1年前の敗因となったもの――。それは、選手層の薄さと勝負弱さだ。
シーズン終盤まで首位を走っていながら、メンバー固定による疲労やエースのディエゴ・オリヴェイラの負傷離脱による戦力の低下、優勝争いという未知の経験からくるプレッシャーによって失速し、逆転優勝を許してしまう。横浜F・マリノス優勝の瞬間を目の前で見せつけられるという屈辱まで受けて……。
主力の多くが負傷、橋本&室屋の海外移籍
ところが、どうだろう。
1月4日に行なわれたルヴァンカップ決勝でも、ディエゴ・オリヴェイラ、髙萩洋次郎、アルトゥール・シルバ、林彰洋という4人の重要な選手を負傷で欠きながら、戦力ダウンを感じさせなかった。
さらに言えば、シーズン半ばに橋本拳人、室屋成という日本代表選手が旅立ち、キャプテンの東慶悟も長期離脱を余儀なくされたが、準決勝では川崎フロンターレを、ファイナルの舞台では柏レイソルを総力戦で倒し、念願のタイトルを掴み取ったのである。
MVPに選ばれたのは、鮮やかな突破から見事なコントロールショットで先制点を決めたレアンドロだった。66分にバーに嫌われた直接FKも含め、90分を通して相手の脅威になっていたから異論はない。
だが、個人的に唸らされたのは、森重真人だ。