濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
としまえんでもスカイツリーでも電流爆破! アイドルレスラーも参戦のDDT路上プロレスと“映像戦略”
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by(C)DDTプロレスリング
posted2020/12/30 17:08
カオスっぷりが魅力のDDT名物・路上プロレス。ABEMAでの配信の中核をなすコンテンツだ
僕も不良や一般人とタイトルマッチしようか(笑)
高木は11月にEXTREME級王座を獲得。試合ごとにチャンピオンがルールを決めるDDTらしいタイトルで、これまで「目隠し乳隠しデスマッチ」(目隠しした状態で闘いブラジャーを着用。剥ぎ取られたら負け)をはじめとする“名勝負”を生み出してきた。
高木はその防衛戦をすべて路上プロレスで行なうと宣言した。初防衛戦の舞台はサウナ、次はサバイバルゲーム場。これらの試合はDDTのYouTubeチャンネルで配信されている。動画のタイトルも初配信時はプロレスファン向けだが、その後は「YouTubeっぽいもの」にしている。たとえば「サバゲーフィールドでプロレスやってみた!」といった具合だ。
「緊急事態宣言中、YouTuberの動画をよく見てたんですよ。プロレス界でもYouTubeやってる人は多いんですけど、内容はトークがほとんど。ベテランの選手とか関係者が昔を振り返るみたいなね。それはそれで楽しいんですけど、広がりがない。俺なら何かもっとできることがあるんじゃないかと思いまして」
格闘家のYouTubeを見ると“闘い”の動画も多い。街のケンカ自慢と闘ったり、異なるジャンルの人気選手同士がスパーリングをすることも。DDTの場合は公式戦、それもタイトルマッチができるわけだから強みになるのではないか。
「僕もいずれ、不良とか一般人とタイトルマッチしようかと思ってますけどね(笑)」
男色ディーノの『ああ人生はプロレスだ』も
男色ディーノがプロデュースした『ああ人生はプロレスだ』は大会というよりドキュメンタリー映像作品。こちらはライブ配信サービス「PIA LIVE STREAM」でPPV配信された。
「PIA LIVE STREAMはアーティストのライブをたくさんやられてるということで、DDTとしても何かやりたいなと。内容はディーノに丸投げです(笑)。ABEMAとユニバースをメインにしながら、いろんなメディアで可能性を探っていきたいですね」
DDTは初期から映像を「資産」と捉え、放送局頼みの中継ではなく自社で映像を制作、管理してきた。コロナ禍の“生命線”であることはもちろん、ネット配信なら海外のファンも見やすい。DDTの後楽園ホール大会は基本的に日曜日の昼開催。北米では土曜の夜にあたる。DDT系女子団体・東京女子プロレス恒例の1.4後楽園ホール大会はABEMAとユニバース両方で生中継。ユニバースは全編英語による実況がつくことになった。
DDTに対して「親会社が大きいから」というやっかみのような声を聞くことがあるが、もともとこの会社は新しいメディアとの親和性が高いのだ。サイバーエージェントグループ入りも、なるべくしてなったと見るべきだろう。
「来年は反撃の年にしたい」と高木。映像メディア戦略はその大きな武器になる。
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