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上沼恵美子「よう決勝残ったな」&松本人志「僕は好きじゃない」…M-1審査史に残る2大“酷評コメント”
text by
ラリー遠田Larry Toda
photograph byM-1グランプリ事務局
posted2020/12/20 06:02
2年連続で決勝に進出したニューヨーク(嶋佐和也、屋敷裕政)
「好感度上げようと思ったら審査員もね、いい点をあげれるのよ、押したらいいわけです。でも本気で挑んでるんで、みんな。本気で私も一緒に見てます」
審査員としての責任感を持って低い点数をつけたことを説明する上沼に対して、マヂカルラブリーの野田クリスタルが「(こっちも)本気で挑んでるから。本気でやってるから」と口を挟んだ。これに反応して、上沼がさらにヒートアップした。
「本気でやってるっちゅってんねん、こっちも! 一生懸命がんばってる。がんばってるのはわかるけど、好みじゃない」「よう決勝残ったな、思って」
「惨事」が「大惨事」に…
彼女がマヂカルラブリーをここまで酷評したのは、明らかに場を盛り上げるための意図的なものだ。生殺しのままではお互いが損をする。殺すならきちんととどめを刺す。そうすることでこのやり取りが1つの「ネタ」として成立する。彼女はあえて自分が悪者になることで、惨めな状態のマヂカルラブリーを救おうとしていた。
だが、上沼の助け舟も彼らには届かなかった。今田に「最後に言い残したことは?」と尋ねられた野田は、その場でおもむろにシャツを脱ぎ始めた。突然の奇行に会場がざわついた。生放送で野田が全裸になることを警戒して、今田は野田の前にスッと歩み出た。
野田はもたつきながら上半身裸の状態になり、鍛え上げた筋肉を見せてポーズを取った。会場が静まり返る中で、今田が何とか場を収めた。
上沼とマヂカルラブリーのやり取りが多くの人の印象に残っているのは、上沼の酷評の後に野田が自らの傷を押し広げる暴挙に出たからだろう。これによってただの「惨事」が「大惨事」となり、人々の記憶に深く刻まれることになった。
松本人志「僕はそんなに好きじゃない」
もう1つは、2019年大会でのニューヨークに対する松本人志のコメントである。1番手として登場したニューヨークは、歌ネタの漫才を演じた。