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「自分の偽物感はぬぐえなかった」芸歴31年目のウエンツ瑛士が初めて明かす“海外挑戦”を決断した日
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byShigeki Yamamoto
posted2020/12/22 11:02
俳優でタレントのウエンツ瑛士さん
――それで、進学校で大学進学を目指して。
ウエンツ 芸能界でずっと生きていけないのなら、大学へ行って、いろんな人に会ったらやりたいことが見つかるかもしれない。そこで「やっぱり芸能界しかない」となれば、そこから切り替えてもいいだろうって考えていたんです。でも、大学も落ちてしまって。その時は、結構な絶望を味わいましたね。
周りの熱量を感じるからこその“危機感”があった
――それから、芸能界で生き抜いていくという覚悟を持って。
ウエンツ いや、覚悟を決めるみたいなことはなかったです。その時でさえ、本当にぬるかったと思います。
――それでもWaTで紅白歌合戦に出場(メジャーデビューから史上最短 ※当時)したり、役者としても、MCとしてもいろいろと仕事は広がっていきますよね。
ウエンツ 自分でいうのも変ですけど、「やりたいことがない」と言いながらも、いただいたお仕事に対して、努力をしていなかったわけじゃないんです。周りの熱量を感じるからこそ、危機感は常にあって。WaTで横にいた徹平をはじめ、意欲にあふれて、上へ登りたいと思っている人たちの存在が、常に僕のお尻を叩いていました。
――白鳥は華やかで美しく見えるけれど、水面下では必死に泳いでいるという感じですね。
ウエンツ 僕の場合は、白鳥のように美しくはなくて、犬かきみたいなものですけど(笑)。
――それでもウエンツさんは、いろんなお仕事を器用にこなして、今や「マルチタレント」と言われています。
ウエンツ 周りの人からは器用だからなんでもやれると言っていただくことがあるんですが、実はそれほど器用じゃなくて。ただ求められるものをできるように、とにかく目の前のことに必死にやってきただけ。いろんなことを器用にやってきた、という感覚は全くないんです。
――そこまで強く“求められるものに応えよう”と思う理由は、なにかあるんでしょうか?
ウエンツ 仕事が減ることの怖さもあったと思います。4歳から仕事をしているからか、友人の多くは仕事がらみで、仕事から離れると減るんだろうなと。実際、求められたものに応えられなくて如実に仕事が減ったこともありましたし、人が離れていくのも経験しました。
だから、現場ではしっかりと期待に応えたいし、そのための準備もきちんとしなきゃいけない。そうやってずっと考えてきました。