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仕方なく出したアジアエクスプレスで2013年朝日杯FSを制した手塚師 今年はドゥラモンドで挑む
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2020/12/19 11:01
アジアエクスプレスは中山競馬場最後の朝日杯フューチュリティSを制した。現在は種牡馬として活躍中
仕方なく別の路線で朝日杯に出ることに
ダートの2戦をいずれも圧勝した事で、陣営は2歳のダートの頂点を目指し、交流重賞の全日本2歳優駿を目指す事にした。オキザリス賞で手綱を取っていたR・ムーア騎手も乗れるという事で決定したのだが、ここで予期せぬ事態が起きた。なんと除外になってしまったのだ。
「それで仕方なく別の路線を考えました。すると、ムーアが『芝でも大丈夫』と言うので、朝日杯に向かう事にしました」
こうしてアジアエクスプレスは12月15日に行われる朝日杯フューチュリティSに挑戦する事になった。それまでの2戦がいずれも圧勝ではあったが、ともにダート戦でのモノだったため、当日は4番人気。レース前は半信半疑だった手塚調教師に、1人の男が声をかけた。
「手塚君の馬は凄く良く見えるなぁ」
同じレースにショウナンアチーヴを送り込む国枝栄調教師だった。そして結果は先述した通り、そのショウナンアチーヴを2着に下し、ムーア騎手にいざなわれたアジアエクスプレスが優勝した。
馬主さんが“ア”で始まる馬名を申請するように
「全日本2歳優駿を使えていれば朝日杯には出ていなかったわけで『こんなこともあるんだなぁ……』という気持ちでした」
手塚調教師はその2年前の11年にはアルフレードでやはり朝日杯フューチュリティSを勝っていた。また、この13年の春にはアユサンで桜花賞(GI)を優勝。このアジアエクスプレスによる朝日杯フューチュリティSの勝利は自身3回目となるGI制覇だった。偶然にもいずれも頭文字が“ア”の馬による優勝で、手塚調教師は苦笑混じりに当時を述懐する。
「その後、しばらくは馬主さんが“ア”で始まる馬名ばかりを申請してくるようになりました。1頭もGIを勝つ馬は現れませんでしたけどね……」
手塚厩舎から次のGIホースが誕生したのは5年後の18年。フィエールマンが菊花賞(GI)を優勝すると、その後、同馬は19、20年と2年連続で天皇賞(春)(GI)を制覇。27日に迫った有馬記念(GI)で自身4度目となるGI制覇を目指す。
そしてその1週前となる今週末の20日、朝日杯フューチュリティSに駒を進めるのがドゥラモンドだ。デビュー以来2戦2勝での朝日杯フューチュリティS挑戦は厩舎の先輩でこのレースを優勝したアジアエクスプレスやアルフレードと同じ。
手塚調教師は3度目となる同競走制覇が出来るだろうか。注目したい。