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毒舌の秋山翔吾、ベテラン感がスゴい宮川哲(25)…西武ファン感謝祭が“名場面のオンパレード”だった件
text by
フモフモ編集長fumofumocolumn
photograph by『ライオンズオンラインフェスタ 2020』より
posted2020/12/09 11:03
FA残留を決めてくれた増田達至さんへの熱い「弾幕」
リアルであればさすがに「お酒飲んで雑談」はお客様にお見せできないでしょうが、オンラインであればそうした「ゆるさ」も許容できます(※何かあったらカットするなり配信を止めてしまえばいいし)。その「ちゃんとしていない」姿こそが、こうした機会にだけ見られるプレミアムな体験であり、求めていたものなのだと改めて感じさせられます。作り込んだ仮装や余興も楽しいけれど、もっと何もない普段の姿、野球という「公」を剥がした素の人物像が見られることこそ、ファン感謝イベントの醍醐味なのだと。
ふらっと登場した、メジャーリーガー・秋山翔吾
その「ゆるさ」は演出においても効果的に活かされていました。ニコニコ生放送の月額有料会員だけが視聴できるコーナーにおいて、現在はMLBシンシナティ・レッズに所属する秋山翔吾さんが登場したのですが、その扱いの雑なこと雑なこと。
事前の予告も派手な煽りもなく、自宅の一室からZOOMをつなぎ、今季で引退する高橋朋己選手が主役のコーナーに現れた秋山さん。相変わらずのクチの悪さで「(同世代選手の話題のときに)柳田(悠岐)が一番最初に出てきたんで、ライオンズの同級生(自分)の名前がいつ出てくるのかと思っていた」「平良(海馬)がアッチ(並行して配信された無料番組)のほうがイキイキしていた」「(高橋朋己のアカデミーコーチ就任は)マズイですねぇ。ライオンズの人事が困ってるってのが伝わりますね。水口(大地)と高橋ですからね」と若干の情報お漏らし(?)を含みつつ、楽しいトークを展開してくれます。
これなどもリアルであったなら、メジャーリーガーとしての扱いで、ちゃんとした舞台へのちゃんとしたご登場でかしこまった話にならざるを得ないところ。コーナーの「主役」の座さえ持っていってしまいかねません。それがオンライン開催であったことで、有料会員向けという密やかな場で、自宅から個人的にZOOMをつなぐという手法で、秋山さんが主役にならないように一歩引いた状態で登場してもらうことができました。いい意味で「雑」に扱うことができた。メジャーリーグへの移籍を果たし、別球団の選手となっても、心の内ではライオンズの一員だよという秋山さんの気持ちも垣間見えるようで嬉しくなる場面でした。
オンラインで生み出された名場面
また、「ゆるさ」によって活躍の機会を得る選手も生まれました。リアルであれば登場機会にも制約が生まれるなかで、オンラインであれば事前収録映像・生配信・複数番組同時配信といった形でいくらでも登場の機会を作れますので、ひとりの選手がさまざまな場面で活躍することができます。
このイベントでMVP級の活躍をした宮川哲選手は、2019年のドラフト1位で入団した25歳のオールドルーキー。今季49試合に登板と活躍はめざましいものがありましたが、まだまだ球団の顔と言える存在ではありません。スタジアムでのリアル開催であれば、1コーナー・2コーナーへの登場がせいぜいだったでしょう。しかし、オンライン開催によって登場の機会が数多く作られ、そこで印象的な場面を数多く作ったことで一気にファンの間でも人気者へと駆け上がっていきました。