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「選手へのリスペクトは挫折から…」矢部浩之が明かす、高校で出会った“バケモン”と『岡村を吉本に誘った』ワケ
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byShigeki Yamamoto
posted2020/11/29 11:03
11月29日23時からDAZNで配信が開始される『やべっちスタジアム』への意気込みをポーズで表してくれた矢部浩之さん
矢部 「変わらないですね。僕は今もバルセロナのパスサッカーが好きです。でも、見ていて一番衝撃を受けたのは、バルサではなく、乾(貴士)選手が野洲高校にいた時のパスサッカーですね。あれは本当にしびれました。『高校生がこのサッカーでいくの?』って本当にびっくりして。
“魅せながら勝つ”って、一番難しいじゃないですか。でも、そのスタイルを押し通して選手権で優勝した野洲高校に日本サッカーの未来を重ねて期待したんです。でも、高校やクラブで実現できても代表は難しいですね」
――アジアの最終予選では攻撃的に戦ってもW杯ではスタイルを変えてしまいますね。
矢部 「W杯で結果を出した時って、ディフェンシブで堅いけど、“魅せて勝つサッカー”じゃないんですよね。南アフリカW杯もそうでした。ただ、あの時の岡田(武史)監督はある意味、すげぇって思いましたね。本田圭佑選手の1トップって話題になるし、当時の代表では理にかなっていたんで、すごく選手を見ているなって。
あの時、岡田監督は本田選手に『お前に攻撃は任せたから』って絶対に言ったと思うんです。本田選手は、そう言われて力を発揮するタイプ。高校時代のチームメイトにサッカーをやらしたら上手い、でも、さぼりがちなヤンキータイプの選手がいたんですけど、そいつにキャプテンをやらせたらガラリと変わった。任されたのが嬉しいというか、男の本能をくすぐるというか。岡田監督には教師の面があるなと思いましたし、そういうのは外国人監督やと難しいなって思いましたね」
海外を経験した選手の「変化」がスゴい!
南アフリカW杯の頃から海外に行く選手が増え、ビッグクラブに移籍する選手も出てきた。長友佑都がインテル、本田がACミラン、香川真司がマンチェスター・ユナイテッドに移籍するなど、その後も多くの日本人が海を渡るようになった。矢部さんは、海外を経験した選手の“変化”に驚くことが多いという。
――海外を経験した選手は、行く前とガラリと変わるものですか?
矢部 「番組的にいうと、人間的に大きくなってトークが面白くなってきますね(笑)。海外に行くと日本人が恥ずかしがるような経験をするので、メンタル的に強くなると思うんです。その結果、人間の幅が広がって、海外に行くまで恥ずかしくてできなかった話もしてくれるようになります。