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東京の“消えた野球場” 巨人阪神“伝統の一戦”が誕生したナゾの「洲崎球場」、いまは何がある?
posted2020/11/21 06:00
text by
鼠入昌史Masashi Soiri
photograph by
KYODO
いろいろあった2020年のプロ野球もいよいよ頂上決戦、日本シリーズを残すのみとなった。対戦カードは2年連続の福岡ソフトバンクvs.読売ジャイアンツ。なので、球場は福岡PayPayドームと東京ドームで、と思ったら違っていた。ちょうど日本シリーズと同じ時期に東京ドームで都市対抗野球が行われるため、ジャイアンツのホームゲームは京セラドーム大阪で行われる。
普段は7月開催の都市対抗野球がなぜこの時期にやっているかというと、これはコロナの影響ではなく東京オリンピックとの日程調整のため。例年秋開催の社会人野球日本選手権と時期を入れ替えることになっていたが、結果的にオリンピックは延期になり、日本選手権は中止になってしまった。11月の都市対抗野球はどうにか開催になり、一方で本拠地を“失った”ジャイアンツが京セラドームを使うことができたのは、もともと予定されていたAAAのドームライブがコロナで中止になったから。と、なかなか入り組んだ事情があるのだ。
「洲崎球場って知ってます?」「カニが歩いていたらしいですよ」
……そんな話をしていたら、編集氏から「洲崎球場って知ってます?」と聞かれた。確か、プロ野球がまだ“職業野球”と呼ばれていた黎明期、ほんの少しの間だけ使われていた野球場ではなかったか。そう答えると、「そうそう、プロ野球で最初の巨人と阪神の優勝決定戦が行われた球場です。海っぺりにあって、満潮になるとグラウンドが浸水してカニが歩いていたらしいですよ」。
いやいや、さすがにカニなんて……と思って笑い飛ばしたら、「その洲崎球場の跡、行ってみてください」とのこと。せっかくの日本シリーズの時期、84年も前の頂上決戦の舞台を見ておくのも悪くない。そんなわけで、その跡地に向かうべく、地下鉄東西線に乗り込んだのである。