Number ExBACK NUMBER
照英が吠えた!45歳で再び日本一を目指した理由…「室伏長官」へのメッセージとは?
posted2020/11/11 11:04
text by
谷川良介Ryosuke Tanikawa
photograph by
Hideki Sugiyama
――再びやり投に挑戦しようと思ったきっかけは何だったんですか?
スポーツ界で活躍されたシニアアスリートを追いかける番組のMCをさせてもらった時、そこでやり投を続けている方を取材する機会がありました。スタッフさんから「照英さん、久々に投げてみませんか?」と提案され、70〜80歳でも元気に活動されている姿を見て刺激をもらっていたので、何十年ぶりかにやりを投げてみたんです。そしたら案の定、全然ダメで。記録も40mちょっと。体中が痛くて痛くて(笑)
――それで火がついた?
そうですね。それに、その記録を計測してくれた方がやり投を教えてくれた高校の恩師だったんですよ。情けない姿を見せてしまったことに「すいませんでした」としか言えなくて……悔しくて泣いてしまいました。
番組のサプライズは大成功でしたが、収録後も消化することができず、「なんでここまで頑張ってきたのに、先生の前であんな記録しか出せなくなったのか」「俺はなにやってんだろう、なんで取材する側なんだろう」と跳ね返ってきたんです。だから、もう一回頑張ってみようかなと。
家族に見せたかった日本一の姿
――そこで出場したのが、埼玉県のマスターズ(埼玉マスターズ陸上競技選手権大会)だった。
そうです。収録から半年間ぐらい本気で練習して出場したのが2018年。そこで57m74という大会新記録が出せた。57mは自分が高校3年生の始めに出したぐらいの記録。あ、いい記録が出た、じゃ次は東日本マスターズ(陸上競技選手権大会)だと自然と目標が見つかったんです。そこでも優勝して(55m51)、次は日本一だ!と(笑)。
それで昨年の全日本マスターズ(2019年全日本マスターズ陸上競技選手権大会/群馬)に出場して、見事日本一になれました(M45クラス、57m22)。大会には大学生の頃に活躍されてた人たちばかり、みんなも当時を忘れられなくて出てきているんですよ。だから嬉しかったですね、私はずっとシルバーメダリストでしたから。
――そこまで突き動かされた原動力はどこにあるんでしょう?
もちろん、自分の中でNo.1を取るという思いが一番でしたが、その姿を家族に見せたかったんです。妻も私がやり投をしている姿なんて見たことなかったでしょうし、子供たちにはやり投をやっていたことさえもまともに話したことがなかった。「パパはなんでスポーツ番組出てるの?」と言われちゃうぐらい(笑)。だから、チャンピオンになる姿を見せるために群馬まで連れて行ったんです。