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「えっ、えっ?」松岡修造が驚いた “パラ世界4位”秦由加子「ホント、足なくて良かったわ~」の真意とは 

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松岡修造

松岡修造Shuzo Matsuoka

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photograph byNanae Suzuki

posted2020/11/29 11:00

「えっ、えっ?」松岡修造が驚いた “パラ世界4位”秦由加子「ホント、足なくて良かったわ~」の真意とは<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

秦選手の口から出た意外な言葉に松岡さんは度肝を抜かれることとなった

汗の一粒一粒までかっこよかった

松岡 ロンドンパラリンピックには残念ながら出られなかったわけですけど、次のリオパラリンピックを水泳で目指すという選択肢はなかったんですか?

 迷いましたね。ただ、2009年に国体(国民体育大会)に出場したとき、そこで知り合った方に誘われて、現在の練習拠点である「稲毛インターナショナルスイミングスクール」でトライアスロンに出会ってしまったので。トライアスロンの良さは得意の水泳を生かせるところでした。それにプラスして新しいことにチャレンジできるという面白さが魅力でしたね。あとはオリンピアンの上田藍選手のせいです(笑)。

松岡 藍さん! 僕も稲毛まで行って取材をさせてもらいました。

 稲毛インターナショナルスイミングスクールにはトライアスロンクラブがあって、周りはトライアスリートだらけという環境。藍ちゃんは2008年北京からロンドン、リオと3大会連続でオリンピックに出場しているプロトライアスリートなんですけど、悩みとか挫折とかいろいろあっても、いつも楽しくトライアスロンをやっている姿が輝いていて、ものすごい刺激を受けました。

松岡 わかります。あんなに前向きな人、いませんよね。

 そうです。自分の人生をあんなにも輝くものにしている藍ちゃんを見て、自分の人生は自分で切り開いていかないといけないと思いましたし、他のトライアスリートたちの競技に打ち込む姿も本当に美しく見えた。本当にかっこよかったんです。汗の一粒一粒までかっこいいと思いました。

修造さんも足のない人生、経験してみたいと思いませんか?

松岡 あの、しつこくてすみません。僕は痛みに弱いので、どうしても気になっちゃうんですけど、痛いのにトライアスロンを続けるのはどうしてですか? トライアスロンって、ただでさえ過酷なイメージがあるし、本当に手を引こうと思ったことはないんですか?

 ないですねぇ。どんなに痛くても我慢して、レースでフィニッシュしたときの気持ち良さを知ってしまいましたから。スポンサーをしてくださっている企業の皆さんや応援してくれる大勢の人たちが「良かったね!」って喜んでくれるのが何より嬉しいんです。気持ちを共有できることが嬉しい。私がパラリンピックを目指す理由もそこにあります。

松岡 そこにはご両親もいますね。

【次ページ】 足のない人生にも可能性がある

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