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きっかけは淳の「外ぐらい出ろよ」 ロンブー亮が明かす「『謹慎中に何してんねん』を変えたランニング」
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byNanae Suzuki
posted2020/11/06 06:00
謹慎中にランニングを始めたと語るロンブー亮
「謹慎中は外に出ている姿を見せられないというか、何をしていても、ランニングをしていてもダメなんじゃないかと思っていた。謹慎中に何してんねんと思われるんじゃないかと。
ランニングをしんどいものと捉える人もいるけど、ゴルフをするのと同じように愉しみとして捉える人もいるわけじゃないですか。だからランニングもできひんなとは思っていた。謹慎中に“遊び”はできないっていう感覚だったかな」
その状態から一歩を踏み出せたのは、まず淳の後押しであり、高齢者向けのデイサービスで詐欺防止の啓発活動を始めたことも大きかった。
走って高齢者施設まで
行き帰りの“足”に使ったのが「ランニング」。走って施設を訪れると職員の人に「走ってきたんですか?」と驚かれた。走って帰る途中に今度は別の施設を見つけ、飛び込みで入ることもあったという。そういう日々の中で、亮は持ち直していった。走って気分転換ができたというレベルではなく、もっと根っこの部分で変わっていったのだ。
「外に出るとやっぱり気持ち的には絶対に変わる。ちょうど高齢者のデイサービスで特殊詐欺防止の啓発活動もやり出した時期で、謹慎はしているけど悪いことをしている感じはなかった。モヤモヤしたままで走っていたら、ストレス発散にはなっていたかもしれないけど、そこまで晴れやかな気持ちになったかはわからない。9月は気候的にも走りやすくなってくるしね。全部のタイミングがよくって、相乗効果で気持ちが健康的になっていった」
ランニングシューズを履いて外に駆け出していくたびに、心にのしかかっていた重しが振り払われていった。ランナーとして、同時に人としても、亮は走ることで再生していったのだ。
年が明けて1月に芸能活動を再開させると、4月からは地上波にも復帰し、10月にはテレビ埼玉で釣りをテーマにした冠番組『ロンブー亮の釣りならまかせろ!』も始まった。ラン関連では、ツイッター上で「ロンブー亮バーチャル駅伝」という取り組みを開始。一般人のランナーを巻き込んで新国立競技場から札幌の大通公園までタスキをつなごうという壮大なチャレンジである。
「コロナの今は大会がないのがやっぱりしんどいです。週1、2ぐらいで月間60kmぐらいしか走ってない。それでも僕の中ではまあまあという感じですけどね」
前を向いて再び走り始めた亮。だが、そのランニングに対して渋い表情をしている相方がいるという。
それはラン再開の第一歩に付き合ってくれた伴走者、愛犬のトイプードル。普段着ではなく、ランニングウェア姿で連れ出そうとすると、なんだかあとずさりするのだ。
「俺がランニングウェア着たときはあんまり一緒に出たがらないんですよ。今日はヤバい日や、いっぱい走らされるって警戒してるみたい」
犬の散歩を口実にしていた日々は遠くに過ぎ去った。屈託のない亮の笑顔がそのあかしだった。