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天皇賞・秋でアーモンドアイのGI8勝を阻む牝馬は… 武豊の偉業継ぎ、ルメールが「令和の盾男」になるか
posted2020/10/31 17:03
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Kyodo News
秋華賞のデアリングタクト、菊花賞のコントレイルにつづき、今週の天皇賞・秋(11月1日、東京芝2000m、3歳以上GI)も、「一強」のレースと見られている。
主役となるのは、史上初の芝GI8勝を狙う現役最強馬アーモンドアイ(牝5歳、父ロードカナロア、美浦・国枝栄厩舎)である。
アーモンドアイも直面した「芝GI8勝の壁」
これまで6頭の歴史的名馬が「芝GI8勝の壁」に弾き返されてきた。
史上初の無敗の三冠馬シンボリルドルフ、史上初めて同一年秋古馬三冠(天皇賞・ジャパンカップ・有馬記念)を制したテイエムオペラオー、史上2頭目の無敗の三冠馬ディープインパクト、牝馬のダービー馬ウオッカ、史上4頭目の牝馬三冠馬ジェンティルドンナ、そして、天皇賞春秋制覇を達成したキタサンブラック、である。
どの馬も、「あそこで取りこぼさなければ記録を更新できていたのではないか」と言いたくなる一戦があった。
それはアーモンドアイにも言えることで、昨年の安田記念(3着)でスタート直後に寄られる不利がなければ、とっくに記録を更新していたかもしれない。
アーモンドアイは、今年のヴィクトリアマイルで芝GI7勝目を挙げ、次走の安田記念で8勝目を狙ったが、2着に敗れてしまった。ずっと間隔をあけて使われてきたなか、初めて中2週の実戦となったことに加え、スタートで立ち遅れたことも響いた。それに、今のアーモンドアイにとってマイルは短すぎるし、勝ったグランアレグリアが強すぎた。
主戦騎手のクリストフ・ルメールは「2000mがベスト」と言っており、管理する国枝栄調教師も同じように感じているという。
現に、昨年の天皇賞・秋は、サートゥルナーリア、ダノンプレミアム、ワグネリアン、スワーヴリチャードら超豪華メンバーによる争いとなったのだが、アーモンドアイは1頭だけ別次元の走りで2着を3馬身突き放す圧勝劇を披露した。圧勝よりも楽勝という表現が似つかわしいワンサイドゲームだった。
アーモンドアイがこれまで制してきた7つのGI。その勝ちっぷりに驚かされなかったことは一度もない。「すごい勝ち方をするだろう」と備えていても、それを遥かに上回る強烈なパフォーマンスを披露しつづけてきたのだ。