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苦しむ大迫勇也 それでも「ユウヤがいることが嬉しい」と指揮官が信頼&期待する理由
posted2020/10/29 17:01
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Getty Images
「勝点に満足している。アウェーでの引き分けは悪くない」
モニター越しのフロリアン・コーフェルト監督(ブレーメン)は、落ち着いたトーンで試合を振り返った。欧州各地で新型コロナウイルスの新規感染者数が爆発的に増えてきていることを受けて、対面によるインタビューや記者会見は制限されている。
10月17日、取材に訪れたブンデスリーガ第4節のフライブルクvs.ブレーメン戦後の監督会見はリモートで行われ、取材に来ていた報道陣のみが参加できるように準備されていた。取材の在り方もやり方も、今の時代は刻々と変わっていく。
フライブルク戦に続いてホームでのホッフェンハイム戦でも引き分けたブレーメンは、5試合を終えて2勝2分1敗の7位。昨季は降格ギリギリまで落ち込んだことを考えると、まずまずのスタートダッシュを切っている。
昨季はシーズン前に「目標はヨーロッパ!」と監督も選手も高らかに宣言していたが、直面した残留争いという現実は、多くのことを学ぶ契機となったようだ。試合に勝つことの難しさ、流れを変えることの大変さ、そして、辛抱強く取り組むことの大切さを感じたことだろう。
取れていたバランスがバラバラに
2017年10月からブレーメンで監督を務めるコーフェルトは、2018年度のドイツ最優秀監督で、才能豊かな指導者として高い評価を受けている。ただし昨季は、自身の理想が先走ってしまったきらいがある。現実を直視することを避け、どんなサッカーをしたいのかが先にきてしまっていたように感じられる。
シーズン中は、うまくいかないときをどう乗り切るか、どう凌ぐかが重要なテーマだ。“自分たちのサッカー”を機能させるには、主軸がコンスタントにハイパフォーマンスを披露することが求められる。
だが、昨季のブレーメンは結果が出ないことで生じたズレが微調整では解決しないほど大きくなり、取れていたバランスがバラバラになってしまった。最終的に16位でシーズンを終え、2部3位ハイデンハイムとの入れ替え戦を制して今季も無事1部でプレーしているが、反省材料の多いシーズンだったことは間違いない。