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【ソフトバンク優勝秘話】試合中の涙に“賛否両論” スピードスター周東佑京が号泣した理由は?
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2020/10/28 11:02
9月11日の西武戦の3回1死一塁から、二盗を決めたソフトバンク周東。このあと三盗も決めて、犠飛で生還
試合中の涙に“賛否両論”
良かれと思って守備の話題も振って取材をした約24時間後に、まさか悔し涙を浮かべるシーンを見るとは思わなかった。
試合中の涙について、この日の放送に携わった解説者の意見は真っ二つだったようだ。OB諸氏からは「まだ試合は終わっていない」と否定的な意見も多かったようだが、筆者としてはそれだけ1つのプレーに熱い想いを込めていた証だったと受け取っている。ただ、賛否はどちらもあっていい。
また、翌日の試合にスタメン出場がなかった点も賛否が分かれるところだ。筆者は使ってほしかったが、工藤公康監督が試合前に「またここで失敗をしてしまうと、立ち直るのに時間がかかってしまう」と理由を明確に説明してくれたことで納得できた。
居残り練習に励む姿
その一方で、周東自身はその気遣いに甘えるでもなく、自分の犯したミスと正面から向き合おうとしていた。
12日のナイターが終わった後、翌日は13時からのデーゲームにもかかわらず、本多コーチに付き添われて送球練習に励む周東と、ショートを守った川瀬晃の姿があった。
13日の試合前も周東は本多コーチにアドバイスをもらいながら、右手に持ったタオルを頭の上でぐるぐる回していた。肩を使わずに手先を器用に動かす。スナップスローを上達させるための方法だ。さらに試合後はまたグラウンドで居残り練習を行った。
重ねて記すが、人生には山があれば谷もある。自信と反省。それを繰り返して人は成長をしていく。
試合も野球人生も、これからまだまだ続く。今週末からはより多くのファンが球場に戻って来られることになった。ホークスでは人気イベントの「鷹の祭典」がイーグルス戦、週明けのバファローズ戦まで6試合行われる。例年ならば7月に行われるが、球団は「時期はずれでも楽しみにしてくださっているファンの方に喜んでいただけるようイベントを行いたい」と企画した。試合後の花火も特別バージョンとなっており、この夏に多くの花火大会が中止となり寂しい思いをした分をPayPayドームで楽しんでほしいとの思いが込められている。
また、今年の鷹の祭典はお祭りを演出するだけでなく、選手会の発案によってユニフォームやキャップに「ブルー」の色を使って願いを込めた。医療従事者をはじめとするエッセンシャルワーカーの方々への感謝の気持ちを表している。
周東は、今や人気選手だ。彼が懸命に頑張ることで、勇気づけられたり励みになったりするファンは大勢いる。これからのプロ野球人生でも再び谷はやってくるだろう。感情を抑えきれなくなる場面に出くわすかもしれない。だけど、何度だって這い上がってほしい。
そうすれば、その次に山の頂上に辿りついたときには、以前の山を見下ろせるくらい高いところに立てているはずだ。