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周東佑京は盗塁だけじゃなくて打撃も大出世 週刊セパ好成績&珍記録まとめ
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2020/10/20 06:00
日本球界に流行する“走り屋”の先駆けの周東佑京。打撃も着実に成長している
それぞれの月間成績を見てみると
6月 4試1打0安0本0点0盗 0死 率.000
7月 24試49打14安0本4点2盗 1死 率.286
8月 20試56打8安0本1点10盗 1死 率.143
9月 24試75打23安0本10点14盗 1死 率.307
10月 16試64打20安1本8点13盗 1死 率.313
昨年、足のスペシャリストとして売り出した周東は侍ジャパンにも選出されるなど注目されたが、今季はじめは外野の守備固めや故障した今宮健太の代わりに遊撃を守るなど、便利屋的な使われ方が多かった。
このためになかなか盗塁の機会がなく、今季初盗塁は7月24日だった。しかしこのころからスタメン起用が多くなり、盗塁数が増えていく。
8月にスランプに陥ったものの、9月に1番での起用が多くなると次第に打率を上げていく。9月に続き10月も現時点まで3割をマーク。そして9、10月と高い盗塁成功率を誇っている。
恐らく工藤公康監督は、今季はじめには周東がリードオフマンに定着するとは思っていなかったはずだ。層の厚いソフトバンクにはいろんな逸材がそろっている。
しかし「使ってみれば結果を出す」から、周東を使わざるを得なくなったのだろう。千賀滉大や甲斐拓也、石川柊太、牧原大成などソフトバンクには育成出身の主力が目白押しだが、周東はこれに加わった。
1番起用ならギリギリ規定打席到達も
規定打席到達まであと97、ソフトバンクの残り試合は16。さすがに厳しい状況だが、ほぼ主力としてシーズン通じてプレーしたことは確かだろう。
筆者は、独立リーグの経営者と話をする機会が多いが、最近NPBのスカウトは「小さな可能性でも、チームに何か新しい力を注入してくれるような選手が欲しい。例えば“周東みたいな”」と話すそうだ。
体が大きくなくても、非力でも、何かアピールできるものがあればスターダムにのし上がることもできる。
周東は無名の野球選手を大いに元気づける存在になっているのだ。