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41歳ピルロ、47歳インザーギ、42歳ガットゥーゾ「06年W杯王者」23人中16人が指導者に でも44歳トッティは…
posted2020/10/22 17:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
青いユニフォームを着た23人の男たちが、ベルリンの空に黄金のトロフィーを掲げてから14年が経った。06年ドイツW杯で優勝したイタリア代表選手たちは、鉄人ジャンルイジ・ブッフォンを除く全員が引退し、その多くが指導者という新たな道を歩んでいる。
20年の晩夏、アズーリの司令塔だったアンドレア・ピルロのユベントス監督就任は、内外に大きな衝撃を与えた。指導者経験ゼロで9連覇王者のベンチにいきなり登用される前代未聞の大抜櫂。
最初の会見で「決まった戦術はない」「昨季のチームに消えていた熱を取り返す」とスローガンを打ち出し、迎えた開幕戦を3-0で快勝。続く2節ローマ戦では退場者を出し苦しい試合運びながらロナウドの2発で何とかドローに持ち込んだ。
地元紙やアンチユーベ派からは早くも手厳しい意見が出ているが、世界を制した天才レジスタが監督としてどう成長していくのか、行く末を楽しみに見守る層も少なくない。
“出世頭”ガットゥーゾ、帰還したインザーギ……
栄光の06年組は23人。そのうち、指導者に転身した者は16人にも上る。彼らの中で、現時点での出世頭はナポリ監督ジェンナーロ・ガットゥーゾだろう。昨季のコッパ・イタリアで優勝し、監督として初タイトルを獲った。勝負師であるだけでなくスタッフを労り、戦術研究も熱心。もはや根性論だけではないと評価も上昇中だ。
今季のセリエAには“スーペル・ビッポ”も還ってきた。14年、ドイツW杯王者組の中で最も早くセリエA監督になった彼だが1年限りであえなく解任、挫折も誰より早かった。3部から再起し、昨季は地方クラブのベネベントを率いて2部優勝。インザーギには「ミラン監督としてCL優勝」という明確な夢がある。これだけは譲れない。
元ミラン組はセリエBでも切磋琢磨する。スペツィアに敗れ、昇格をあと一歩で逃したフロジノーネ(セリエB)の指揮官アレッサンドロ・ネスタは今季こそ昇格を目指す。すでにウディネーゼでセリエA指揮経験もあるマッシモ・オッド(ペスカーラ)とプレーオフで雌雄を決する可能性もあるだろう。
「W杯王者」という肩書は世界中どこでも通用する。主将だったファビオ・カンナバーロは中国や中東といった広大なアジアの監督に特化した感がある。アルゼンチンからの帰化選手だったマウロ・ヘルマン・カモラネージは国境を易々と飛び越え、メキシコやスロベニアで指揮を取っている。