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筒香嘉智の“凡打”にも「いい打席だった」 レイズ監督が6試合ぶりに先発で抜擢した理由 

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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posted2020/10/16 20:01

筒香嘉智の“凡打”にも「いい打席だった」 レイズ監督が6試合ぶりに先発で抜擢した理由<Number Web> photograph by Getty Images

リーグ優勝決定シリーズ第4戦で久々に先発出場したレイズの筒香は9回、逆転のチャンスで打席に入るも右飛に終わった

<パワー投手>
24打数1安打、0本塁打、6四球、14三振、打率.042

<平均的な投手>
56打数18安打、4本塁打、9四球、19三振、打率.321

<技巧派投手>
77打数12安打、4本塁打、11四球、17三振、打率.156

 グリンキーは平均的投手というよりは技巧派である。パワー投手には程遠い。抜擢の理由はここにある。

 第4戦、結果的に筒香は4打数1安打に終わった。グリンキーには2打数無安打も3回の第1打席は86マイル(約138キロ)のチェンジアップを芯で捉えた遊ゴロだった。

 ポストシーズン初安打となった7回の投手強襲安打は右腕クリスチャン・ハビエルの95マイル(約153キロ)の高めの直球を打ち返したものだった。9回にプレスリーから放った右飛と合わせ、この日はパワー系に近いハビエル、平均的なプレスリー、技巧派のグリンキーと3タイプ全ての投手と対戦し、3度のクオリティ・アット・バットを示した事実は、残り少ないシーズンとは言え、明るい材料と言える。

筒香の凡打はいつも“紙一重”である

 冒頭にあげた2つの右飛は彼が持つ確かな技術を示しているものだと思っている。

 投手のボールの軌道に対し、バットが出てくる軌道がしっかりと重なり合う。センターのテレビカメラから見た場合、投球を線で捉える技術を持つ打者の共通項はインパクトの前からボールとバットが重なり合って見えることだ。これは長くテレビ局で野球担当の仕事をしてきた筆者自身の経験による感覚でもある。

 筒香の凡打はいつも紙一重。そして、課題も明白だ。

 9月19日、公式戦で放った最後の8号本塁打は、ボルチモア・オリオールズの右腕ホルヘ・ロペスの95.3マイル(153.37キロ)の直球を右翼へ豪快に運んだものだった。苦手としてきた95マイル超の高めの直球をメジャーで初めて捉えた一打だった。

 異例かつ特殊な短縮シーズンで、10月の最後まで誰よりも多く試合を経験できることは新人・筒香にとって大きな意味を持つだろう。経験を糧にかえ、パワー投手克服の道を切り開いて欲しい。

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