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筒香嘉智の“凡打”にも「いい打席だった」 レイズ監督が6試合ぶりに先発で抜擢した理由

posted2020/10/16 20:01

 
筒香嘉智の“凡打”にも「いい打席だった」 レイズ監督が6試合ぶりに先発で抜擢した理由<Number Web> photograph by Getty Images

リーグ優勝決定シリーズ第4戦で久々に先発出場したレイズの筒香は9回、逆転のチャンスで打席に入るも右飛に終わった

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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 あのときと同じに見えた。

 3年半前、WBC準決勝・米国戦で筒香嘉智は1点を追う8回2死一、二塁で侍ジャパンの4番として打席に入った。下手投げのパット・ニシェックのスライダーを捉えた一打は右翼への逆転3点本塁打かと日本中を熱狂させた。だが、結果は右飛だった。

 10月14日(日本時間15日)のアストロズとのリーグ優勝決定シリーズ第4戦。6試合ぶりの先発メンバーに名を連ねた筒香に1点差の9回2死三塁の逆転機で打席が回ってきた。救援右腕ライアン・プレスリーが投じた1−2からの92マイル(約148キロ)のスライダーを強振。打った瞬間は逆転本塁打を期待させたが、打球は右翼手のグラブに収まった。

 ともに内容は間違いなく『クオリティ・アット・バット』。だが、結果は右飛であり凡打。敗戦のハイライト映像は繰り返し流された。勝負の世界に生き、ましてや短期決戦の大一番なのだから、内容は良かったなどと悠長なことばかりは言っていられない。それでも試合後、レイズのケビン・キャッシュ監督はこう言った。

「最後のアウトまでいい試合だった。ヨシはいい打席だった」

成績振るわない筒香を抜擢した理由

 第4戦を前に筒香のポストシーズンでの成績は8打数無安打。公式戦ではチーム最多の26四球を選んだが、その忍耐強さも影を潜めていた。ワイルドカード戦から11試合で先発出場はわずかに3試合。地区シリーズ4戦からは5戦連続で出場機会さえなかった。その中で指揮官はアストロズとの第4戦で久々にスターティング・ラインナップに筒香の名を入れた。

 相手先発は通算208勝、2009年にはサイ・ヤング賞に輝いたザック・グリンキー。昨今は直球の平均球速が90マイル(約145キロ)にも満たないが、絶妙な制球力とチェンジアップを駆使し、昨季まで12年連続で二桁勝利を挙げてきた。そのグリンキーに対し、キャッシュ監督は筒香起用の理由をこう話した。

「低めの変化球に対応するのが上手い」

 言い換えればこうともなる。

「高めの速球に対応するのが上手くない」

 事実、公式戦ではこんなデータもある。

【次ページ】 筒香の凡打はいつも“紙一重”である

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