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藤井聡太二冠、5戦全敗の「序盤、中盤、終盤、隙がない」“天敵”と対局 三冠目に向け負けられない一戦
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byTakuya Sugiyama
posted2020/10/05 13:40
藤井聡太二冠(撮影別日)
第70期王将戦の挑戦者決定リーグ2回戦、豊島将之竜王(叡王と合わせて二冠=30)と藤井聡太二冠(王位・棋聖=18)の対局が5日10時から関西将棋会館(大阪市)ではじまった。
事前の抽選で先手番は豊島竜王。お互いに飛車先の歩を突き、戦型は「相掛かり」となった。
現在の将棋界は豊島竜王、藤井二冠と渡辺明名人(棋王・王将と合わせて三冠=36)がそれぞれ複数のタイトルを持ち、覇を競っている。
藤井二冠は“現役最強”と称される渡辺名人から「棋聖」を奪取するなど、強豪たちからも勝利を挙げてきたが、これまで豊島竜王には5戦全敗と一方的な成績となっている。
なぜ豊島竜王に勝てていないのか? Number Webで「進取の将棋」を連載している中村太地七段は9月21日公開の記事で2人の対局について次のように言及している。
まず、豊島竜王の特徴について、<豊島竜王を有名にした言葉は……「序盤、中盤、終盤、隙がない」ですね。正確な文言と由来をお知りになりたい方は、それぞれ調べていただければと(笑)。ただこの表現はまさに豊島竜王の棋風を表しているものだと感じます。非常に着実な手を積み重ねていって勝ち切るというタイプの棋士です>と述べている。
そのうえで、豊島竜王が勝ってきた理由をこう解説している。
<豊島竜王が勝利を挙げた理由としては、序・中盤で藤井二冠がなかなかリードを奪えない展開となり、中・終盤で豊島竜王がリードしたまま押し切る。豊島さんのスキのない指し回しが少し上回っている印象です>
今期の王将リーグは現役タイトルホルダーとタイトル経験者が揃った超ハイレベルなメンバーとなっている。藤井二冠は初戦で羽生善治九段に敗れており、これ以上負けると王将挑戦がかなり厳しくなる(前期は5勝1敗で広瀬章人八段が挑戦者になっている。藤井二冠は4勝2敗だった)。
“天敵”との負けられない一戦でどのような指しまわしを見せるか、注目される。