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東京オリンピックでもう一度表彰台へ! バドミントン・奥原希望のありのままの自分を受け入れる強さ 

text by

林田順子

林田順子Junko Hayashida

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2020/10/07 11:00

東京オリンピックでもう一度表彰台へ! バドミントン・奥原希望のありのままの自分を受け入れる強さ<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

身長が低いことは自分の短所でもあり、長所

 例えば、私は身長が156cmしかありません。バドミントンにおいて、身長が高い方が有利かどうかは、科学的根拠がないので分かりませんが、背が高ければ、ちょっと動けばシャトルに手が届きますよね。だから昔は「ずるくない?」って思っていたこともありました。今でも、背が高い人がバドミントンをやるとどんな感覚なんだろう、VRみたいなもので体験できたらいいのに、と思うことはあります(笑)。

 でも身長が低いことは自分の短所でもあり、長所でもあるんです。

 例えば、身長が高い人よりも、シャトルの下に入りやすい。フットワークをうまく使うことで、シャトルの下に潜り込んで、攻めの形で打つことができる。もし身長が高い人はいいなと羨ましがっているだけだったら、絶対に勝てません。身長が低いことを味方につけて、武器にしないと世界の頂点は絶対に取れないんです。

 だからどんな自分であっても好きになる。そうするとそんな自分を大切にしてくれる人、好きになってくれる人が絶対現れるはず。逃げちゃいけない時もあるとは思いますけど、同じことをするならば、ストレスを抱えて自分を偽るよりも、ありのままの自分で、好きなことや大好きな人と時間を共有したほうが、もっともっといいものができると思うし、未来も明るくなると思っています。

 東京オリンピックもそうです。

 1年延期になってしまったことは変えられない事実なのだから、受け入れるしかない。自分がどこに向かっているのか不安に思った時もありましたが、結局は自分の課題を今まで通りやっていくしかない。

 そうやって積み重ねてきたことで、この1年で自分は確実にパワーアップしたと思います。来年の東京オリンピックでは、ありのままの自分でプレーして、表彰台に上りたいと思っています。

奥原希望

奥原 希望Nozomi Okuhara

1995年3月13日、長野県生まれ。小学1年生の時にバドミントンを始める。埼玉県の大宮東高校に進学し、全日本ジュニアとインターハイを連覇。2011年に世界ジュニアで銅メダルを獲得。同年の全日本総合を史上最年少の16歳8カ月で制し、日本代表入り。怪我で2013年に左膝、翌年に右膝の手術を受けたが、2016年に日本人として39年ぶりに全英OPを制覇するなど完全復活。同年のリオ五輪女子シングルス代表に選出され、日本人初となる銅メダルを獲得。2017年世界選手権では日本人初の女子シングルス優勝。2019年からプロとして活動を開始。太陽ホールディングス所属。

ナビゲーターの俳優・田辺誠一さんがアスリートの「美学」を10の質問で紐解き、そこから浮かび上がる“人生のヒント”と皆さんの「あした」をつなぎます。スポーツ総合誌「Number」も企画協力。

第128回:奥原希望(バドミントン)

10月9日(金) 22:00~22:24

バドミントン日本代表の奥原希望選手は身長156cmと小柄ながら、持ち前のセンスと粘り強いプレースタイルで世界ランキングの上位に君臨。2016年のリオ五輪では女子シングルスで日本人初のメダルとなる銅メダルを獲得、東京五輪でも金メダル候補として期待を集めています。自称・目立ちたがり屋の彼女が、番組恒例「3枚の写真」で選んだ1枚も意外なものでした。自身が語る「自分を出す方法」とは? 番組では彼女の束の間のオフにも密着。スイーツを楽しみながらリラックスするトップアスリートの素顔に迫ります。

第129回:右代啓祐(陸上)

10月16日(金) 22:00~22:24

陸上十種競技の右代啓祐選手は身長196cm、体重95kgの恵まれた体格をいかし、2012年に同種目では日本人選手48年ぶりとなる五輪出場。2016年リオ五輪では日本選手団の旗手も務めました。2日間に亘る長い戦いで気持ちをリセットしたい時は、感情を表に出すために「大声を出している」と明かします。現在34歳。陸上選手としてはベテランの域に入りましたが、いつも胸に留めているのは「変化し続けること」。「例えば仕事でつらいときも、思いっきり落ち込んで、そこからどう変化できるかが大事」と視聴者にメッセージを送ります。

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