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東京オリンピックでもう一度表彰台へ! バドミントン・奥原希望のありのままの自分を受け入れる強さ
posted2020/10/07 11:00
text by
林田順子Junko Hayashida
photograph by
Kiichi Matsumoto
「バドミントンを辞めたいと思ったことはありますか?」
奥原希望に尋ねると「ありますよ。でも結局やめられないのが現実。考えても結論に至らないなら、他の打開策を考えようって思いますね」
2016年のリオデジャネイロオリンピックでは日本人初のシングルス銅メダルを獲得、2017年の世界選手権では日本人初の女子シングルス優勝を果たした奥原。156cmの小柄な体で世界と互角に戦うためには、すべてを受け入れて前へと進む、この気持ちの強さが必要なのだろう。
よく「すごく自分を理解しているよね」って言われるのですが、自分ではあまりピンときていなくて。
周りの人たちからのアドバイスも「そういう見方もあるんだ」とまずは全部受け入れて、それをヒントに考えるようにしています。もしかしたら、そうやって色々な視点で物事を捉えることが当たり前になっているので、客観視できているように見えるのかもしれないですね。
私は不器用だし、ひたすら努力をしてきたタイプ。そんな私が強みをあげるとすれば、やっぱり考える頭なのかなと思います。自分のことを理解して、目標に対して何が足りないのかを考え、逆算して、何から取り掛かるか。課題がいっぱいある中で、その順序も大事ですし、昔からそういうプランは自分で考えてきました。
自分がどこまで理解して実行するか、その行動力が試されていると思っています。結局、周りがどんなことを言っても、最終的には自分が大切なんですよね。
だから他人と同じことをするのは好きじゃありません。
試合だけじゃなくて、プライベートも一緒
日本って周りが言うから自分も同じようにするとか、周りの顔色を窺う人がすごく多いですよね。それが私はすごく嫌なんです。みんなそれぞれに違っているのは当たり前。むしろ他人と違うところがその人の魅力であり、良さだと思うんです。だからこそ、その違いをもっと自分の長所として捉えて、前に出して勝負していくことが大切。
試合だけじゃなくて、プライベートも一緒。私は嘘をつくのが好きじゃないし、基本的にずっと素で生きています。他の人とも素のやりとりをしたいし、その人本来の姿が見えてこないのは、もったいないと思っちゃうんです。
もし、自分を出せないという人がいたら、まず素の自分を好きになってほしい。弱い自分、コンプレックスを抱える自分も全部自分。これから先もその自分と付き合っていくしかないのですから。