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千葉ジェッツのチアリーダーズ「STAR JETS」“勝率100%”不敗神話の秘密を探る
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byCHIBA JETS FUNABASHI
posted2020/09/10 20:00
STAR JETSは「試合に勝つ」という空気を作る、圧倒的なパフォーマンスを見せる。
勝率100%の不敗神話が生まれた
試合後には好意的な声が数多く寄せられた。松田たちは大きな反響をフロントスタッフに伝えながら、もう一度踊れるタイミングを探し始めた。
Ichikaは言う。
「そこからは大事な試合のときに踊ることになりました。試合前に『この曲をかけますよ』と公表しているわけではないのに、『大事な試合の時にかかるんだな』とブースターのみなさんも感じ取って、テンションを上げてくださる。最初は『GO! JETS!』コールをしてくれるのも一部の人でしたが、それが定番になってサビにさしかかるときにはみんなが一緒にコールをしてくれるようになりました」
お客さんが反応しているというのは、その場の空気が変わっているということだ。
前述の通り、ティップオフ直前の時間は冠スポンサーが自由に使える時間だ。いつも同じことができるわけではない。
それでも、最終的にこの2018-19シーズンには、CS準決勝を含めて7試合で踊ることができた。
そのなかにはリーグ最終盤、4月13日のアルバルク東京戦も含まれている。試合のほとんどの時間でリードを奪われながら、残り2秒で司令塔の富樫勇樹が決勝のジャンプシュートを決めた試合だ。優勝をほぼ確実にした試合であり、このシュートが「ベストタフショット」賞に選ばれたから記憶している人も多いかもしれない。
見逃せないのは、あのダンスが試合前に作り出した空気の効果である。
「Let's Go」を踊った日の成績は7戦、全勝。
勝率100%の不敗神話はこうして生まれた。
「こんな空間、日本にもあるんだね!」
7試合のうちの1試合を観戦したIchikaの友人が、こんなことを言ったという。
「こんな空間、日本にもあるんだね!」
この言葉にジェッツが観客動員ナンバーワンでいられることの秘密がある。
今の日本では、多くのチアリーダーが生計を立てるための本業を抱えながら、自分の存在価値とやりがいを求めてチアリーディングをしている。金銭面だけを見れば、踊ることの対価がアルバイト程度になってしまうケースも少なくない。
そんな状況を変えようと、ジェッツが3年前から取り組んできたことがある。
チアリーダーを職業にするための「専属マネジメント契約」だ。
この契約を結んだ者は、試合や地域のイベントでのパフォーマンスと、ジェッツが運営するチアリーディングスクールのインストラクターを務めることが仕事になる。チアで生計を立てられるのだ。
完全な年俸制で、待遇は20代の平均よりも良い。もちろん、Bリーグの他のチームと同様、毎シーズンの開幕前に選抜テストもあるからその座を勝ち取る必要がある。会社員ほどの安定はないかもしれないが、今季もSTAR JETSの3人がこの契約を結んでいる。
ジェッツのホームゲームでは選手のサイン会が開催されているが、同じようにSTAR JETSのサイン会が行われることもある。